国産初 LED 搭載 紫外線治療器「セラビーム UV308 mini LED」 名古屋市立大学 医学部とウシオ電機が開発!

名古屋市立大学 医学部 加齢・環境皮膚科学 森田明理教授とウシオ電機は、国産初となる紫外線 LED 光源を搭載した難治性皮膚疾患に対する紫外線治療器「セラビームUV308 mini LED」 を開発。ウシオ電機株は10月19日から、国内で販売を始めた。

名古屋市立大学とウシオ電機が共同開発した、ランプ光源方式の「エキシマライト光線療法機器」は、2008年より販売されてから、皮膚の適用疾患に対する高い治療効果と安全性が認められ、現在、世界7か国、約1200施設で使われている。

こうしたエキシマライト光線療法機器の普及の流れをうけ、名古屋市立大学とウシオ電機は、サステナブル(持続可能)な社会を実現するため、従来のランプ光源方式であるエキシマライト光線療法機器と同じ紫外線ピーク波長(308nm)の、高出力 LED を採用した新たな紫外線LED搭載⽪膚疾患向け紫外線治療器「UVB₋LED 光源システム」を開発した。

「セラビームUV308 mini LED」4つの特長

◆速くて、かんたん
・高出力 LED により照射時間は、従来の 1/4。
・独自の制御技術による適切な光照射。

◆軽くて、省スペース
・ハンドピース重量が 370g と、従来の約 1/3 に。
・本体部設置スペースは、A4 サイズ以下と省スペース化。

◆省エネ・長寿命&メンテナンスフリー
・消費電力量を、約 70%削減。
・光源寿命は、約 4〜5 倍。
・耐用期間 6 年間は、保守不要。

◆Made in Japan
・『開発~製造~販売~アフターサービス』 まで国内で一貫してご提供。

赤くならない、副作用(DNA 障害)を抑制

今回、共同研究により、効果波長と紅斑作用波長を割ることで、赤くならなく(なりにくく)治療効果が高くなる計算値を推定した結果、303nm・305nm・307nm にピークがあり、長波長側で紅斑作用が少ない波長を選ぶとすれば 307nm であることを確認。

308nm は、乾癬治療に理想的な光線治療といえて、安全性と有効性を得るための最適波長の検討を細胞レベルでも行い、308nmを選択した。

あわせて、安全性を高めるべく短波長側の不要な光のカットの検討を行い、短波長側の光の量が少なくなるような LED を選択し、効果を維持したまま、副作用(DNA 障害)を抑制できることがわかった。

都内で行われた発表会では、名古屋市立大学 医学部 加齢・環境皮膚科学 森田明理教授が実際に紫外線治療器「セラビーム UV308 mini LED」を照射してみせた。

LED化で照射時間も1/4に短縮、省エネ・小型・軽量化

紫外光領域の LED は、動作環境によって光の性質が左右されやすく、安定した光を必要とする紫外線治療器には不向きという課題があったのに対し、共同開発の制御技術により、高出力かつ安定した光照射を実現し、ランプ光源方式から LED 光源方式への切り替えに成功したかたち。

これにより、ウシオの従来機種(エキシマライト)と比較し、消費電力量を約70%削減、光源の寿命を約4〜5倍に延ばすことも可能に。

この UVB₋LED 光源システムを搭載した「セラビームUV308 mini LED」は、省エネ化とハンドピースの小型・軽量化を実現。

また、高出力かつ安定した光照射が可能となったことで、照射時間も従来の 1/4 に短縮することに成功した。

今後のさらなるユーザーの QOL 向上と医療分野の発展に貢献していく紫外線治療器になると期待されている。

名古屋市立大学 森田教授「難治性皮膚疾患に対して十分な効果」

名古屋市立大学 医学部 加齢・環境皮膚科学 森田明理教授は、今回の国産初 紫外線LED搭載 紫外線治療器「セラビーム UV308 mini LED」について、こう説明する。

「太陽の光には、良い部分(波長)と良くない部分があると壮大な仮説を立てて、ライフワークとして光の良い部分(波長選択)を探索してきました。

2002年には、311nm を用いたナローバンド UVB の国産機の開発、さらに、2008年には 308nm エキシマライト、2011 年には312nm 平面発光 UVB の開発を進め、いずれも開発に成功し上市しました。

乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、円形脱毛症などの難治性皮膚疾患に対して十分な効果を得ることができました。

波長選択に最も適した LED の開発にも関わり、2021年には 40-400nmUVA1 の LED 化、今回は、308nm をピーク波長とする LED を用いて、有効な波長を十分量照射できるような機器の開発に成功しました。

多くの難治性皮膚疾患の治療にまた新たな光が加わり、多くの患者さんが救われると思います」(名古屋市立大学 森田明理教授)