葬儀依頼24時間365日受付、葬儀相談無料の冠婚葬祭互助会「くらしの友」(東京都大田区)は、「つたえたい、心の手紙」コンテストを開催。10月31日まで作品を募集中。
「つたえたい、心の手紙」は、「亡くなられて、いまはもう会えない大切な人への手紙」をテーマに、いま故人に伝えたい想いや、生前に伝えられなかった言葉を“心の手紙”に記し、故人に伝えるというもの。
この「つたえたい、心の手紙」コンテストは、「くらしの友」での葬儀で、故人への手紙を棺に入れる人が多いことを受け、「亡くなった大切な方への想いを手紙として記すことで、悲しみを乗り越えるきっかけとなれば…」との思いから、2008年から毎年開催。今回で15回目。
ここ数年は、年齢や性別を問わず幅広い層の人から毎年1000通程度の作品が寄せられ、開始14年目を迎えた昨年、応募総数は累計1万5千通を超え、広く世の中に同コンテストが認知されてきた。
集まった手紙は、いずれも故人に向けた感謝の言葉やお詫び、遺された者として生きていく決意など、さまざまなメッセージが綴られ、また、応募者からは手紙を書いたことで「心の整理がついた」「優しい気持ちになれた」などの声が寄せられている。
応募作品から金賞1名、銀賞5名、佳作5名、入賞若干名を選出し、金賞には現金10万円分を贈呈。
また、入選作品は冊子にまとめ、「つたえたい、心の手紙」入選作品集として2023年春頃に発行し希望の方に抽選で配布する予定。
9月に入り、お彼岸の季節。改めて、亡き大切な人へのメッセージを送る機会をつくってみては。ければ幸いです。
応募要項など詳細は、公式サイトへ。
https://www.kurashinotomo.jp/tegami/
前年 金賞作品「どうしても聞けなかった事」菱川町子さん 77歳
母さん、私が六年生の時ピアノを習いたいと言いましたね。でも家にはピアノがありません。
普通の親なら即座に言うでしょう。家にピアノがないのにできる訳ないだろうと。
でもあなたはそんな事を一言も言わずにピアノの先生を捜しレッスンに通わせてくれました。
家にピアノがなくても学校にはある。学校のピアノで練習すればいいと。なんという柔軟な発想でしょう。
できないと諦める前に、どうしたらできるか考えるという事を教えてくれました。
その教えのおかげで私は中学、高校と学校のピアノで練習し、教育大学音楽科に合格する事が出来ました。そして三十四年間音楽教師として勤めました。
母さん、聞かなければいけないのに、どうしても聞けなかった事があります。言わなければいけないのにどうしても言えなかった事があります。
私が教育大学を受験する時、ピアノを買ってくれましたね。おかげで家でたっぷり練習し、合格する事ができました。
あのピアノのお金はどうやって工面したのですか。当時町工場で鋳物工として働いていた父の給料では、どう考えても買えないと思うのですが……。
あの時、私は嬉しいより信じられなくてわが目を疑いました。ありがとうとも言いませんでした。
きっとあなたは私の喜ぶ顔が見たかった事でしょう。でも私は怖かったのです。
母さんがピアノを買うためにどれ程の苦労をしたか知る事が恐ろしかったのです。
あなたはピアノを買うための苦労を私に一言も言わずにあの世に逝ってしまいました。
母さん、ピアノを買うために何度父に頭を下げたのですか。姑にどんな嫌味を言われたんですか。
噂話の好きな口さがない村の人達にどんな事を言われたんですか。
あなたの苦しみから目をそらした私を許してください。
そして心からの感謝の言葉を言わせてください。