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インフルエンザB型の感染拡大、温暖化などによって早期化する花粉症と、二重苦で重症化の恐れもある2025年冬。
花粉症やインフルエンザから身を守る予防策はないのか。ひまわり医院(内科・皮膚科)伊藤大介 院長に聞いた。
「花粉症とウイルス感染症が重なると重症化しやすい」とする論文も
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―――インフルエンザの影響で花粉症が重症化する可能性はありますか?
インフルエンザをはじめとしたウイルス感染症と花粉症との関係については、さまざまな意見がありますが、「花粉症とウイルス感染症が重なると重症化しやすい」とする論文もあります。
たとえば、2022年に発表された海外の論文によると「春の花粉症のシーズンでは、子どものウイルス感染患者数は前週の花粉濃度と強く相関していた」としていますね。
花粉症の暴露により抗ウイルス遺伝子が抑制され、ウイルス濃度が高くなるといった研究もあり、花粉症の時期にも感染対策は必要ですね。
ヨーグルトをはじめとした「善玉菌」をとる
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―――インフルエンザ×花粉症の予防対策として、日常的に取り入れられるものはありますか。
もちろんマスクやゴーグルなど「微粒子を入れない」対策はとても大切ですし、家に帰ったら手洗い・うがいをしっかり行うことも大切です。
また、睡眠環境を整えることもインフルエンザ・アレルギーの予防に効果的でしょう。
加えて、日常的にとる食べ物も大切です。とくにおすすめなのが、ヨーグルトなどの発酵食品をとることですね。
2022年に発表された28件の研究をまとめた論文によると、ヨーグルトをはじめとした「善玉菌」をとることで、アレルギー性鼻炎の粘膜の炎症をおさえ、鼻炎症状も程度も抑えることができたとしています。
腸内細菌を整えることは普段の免疫力を上げることも直接つながりますので、インフルエンザに限らず、ウイルス感染症を予防するという意味でも、ヨーグルトはおすすめです。
乳酸菌の摂取自体が免疫力を上げる作用
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―――発酵食品のなかでもヨーグルトを食べるメリットは?
数ある発酵食品のなかでも、とくにヨーグルトがよい点として(1)取り入れやすい、(2)乳酸菌が良い影響を与える、の2点があげられますね。
ヨーグルトは、朝食のお供としてはもちろん、いろいろな料理に加工しやすく、普段から日常的に取り入れやすい食材です。
さらに、乳酸菌の摂取自体が免疫力を上げる作用があります。
たとえば、2014年の論文では、計60人を対象に乳酸菌を4週間摂取した効果をみたところ、風邪や胃腸炎などのウイルス感染になる確率が半分以下になり、感染しても1日以上はやく回復したとしています。
先の花粉症を防ぐ効果もあわせて、普段からぜひヨーグルトをとっていただきたいですね。
◆ひまわり医院(内科・皮膚科)
https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/
◆伊藤大介 院長
東京大学医学部医学科卒業
東京大学医学部 博士課程修了
プライマリ・ケア学会認定医(家庭医認定医)
プライマリ・ケア学会指導医(家庭医指導医)
日本病院総合診療医学会認定医
マンモグラフィー読影医
日本外科学会認定外科医