川崎鶴見臨港バス営業路線区間で埼玉工業大学 自動運転AIバスがテスト走行_大型トラック連なる片側3車線の産業道路を自動で走り、バス停へも高精度でオート接着! 2023KAWASAKI新モビリティサービス実証実験

京浜急行電鉄(京急電鉄)グループの川崎鶴見臨港バス 塩浜営業所に、埼玉工業大学の後付け自動運転AIシステムを搭載した日野レインボーII自動運転バス、そして川崎市 福田紀彦 市長をはじめ、アイサンテクノロジー、A-Drive、東海理化、損保ジャパン、SOMPOリスクマネジメント、埼玉工業大学などのトップたちが集結―――。

全国各地の路線バス事業者や自治体と組み、1万km以上を自動で走ってみせた埼玉工業大学 自動運転AIバスが、こんどは京急電鉄エリアで、川崎鶴見臨港バスが代表幹事を務める「2023KAWASAKI新モビリティサービス実証実験」で、新たなアップデートをみせた。

5つの停留所への接着もオートで高精度に実行

川崎市内初の大型自動運転バス 実証実験テスト走行は、川崎鶴見臨港バス塩浜営業所を起点とし、首都高速道路 横羽線が並走する産業道路(東京都道・神奈川県道6号東京大師横浜線)を経て、京急大師線 大師橋駅へと到る往復ルート。

往復の途中には、5つの停留所を設定し、停留所接着も誤差数ミリレベルの高精度でオート実行。右折レーンから産業道路へと右折進入するシーンや、大師橋駅での折返しなども自動運転レベル2 のオートで走り、社会実装に向けて課題を確認していく。

難度が高い川03系統のルートの一部で自動運転テスト

今回のテスト走行では、川崎鶴見臨港バスが「実証全体管理、コーディネート運行管理、保安ドライバー」を、アイサンテクノロジーが「高精度3次元地図作成、運行支援」、A-Drive が「自動運転サービスの社会実装支援」、東海理化が「遠隔監視システム」、埼玉工業大学が「車両技術提供」、損害保険ジャパンが「自動運転リスクアセスメント提供」、SOMPOリスクマネジメントが「自動運転リスクアセスメントの提供」を担当。

前述のテスト走行ルートは、川崎鶴見臨港バスが80年以上運行してきた川03系統のルートの一部で、「片側3車線の産業道路の流れにのって走行」「路上駐車が多発するエリアを回避しながら走る」「大型トラックが連なる車線を走る」「工場勤務者などの自転車利用者が多いエリアを行く」「直上に首都高がありGNSS(衛星測位システム)をとらえられるか」といった難しい課題をどうクリアするかなどにも注目が集まった。

東海理化のカメラで遠隔監視し挙動データを収集

今回のテスト走行では「車内で転倒するなどの車内人身事故のリスク課題も解決していきたい」(川崎鶴見臨港バス)というニーズなどにも応えるべく、東海理化(愛知県)の車室内乗客検知システムも搭載。

姿勢・行動検知処理などで自動運転バス車内の乗客が安全な状態か否かを遠隔監視し、遠隔監視者は、運転士や乗客にアラート通知する。

川崎鶴見臨港バス運転士が乗務し走る埼玉工業大学 日野レインボーIIベース自動運転AIバスには、東海理化の車外10台・車内5台のカメラを遠隔監視システムでつなぎ、挙動データなどを集めていく。

埼玉工業大学のリアル教材が起こすソリューション

「将来のレベル4(限定条件かでシステムがすべて運転操作し、運転士が運転席を離れることができる)運行を想定し、運転士の負担軽減など持続可能な事業運営をめざす」という川崎鶴見臨港バスが仕切る自動運転バステスト走行。

そのテスト車両を担った埼玉工業大学の自動運転AIバスは、既存路線バス車両に自動運転AIシステムを後付けするタイプとして、全国の路線バス事業者や自治体などから注目を集め、また埼玉工業大学 工学部 情報システム学科を中心とする、同大学の“生きた教材”としても活用され、毎日のように学生たちの手でアップデートされている。

―――川崎鶴見臨港バス営業路線区間でのテスト走行では、関係者限定で試乗できた。このあとその“進化”を伝えていく。