「デッドレコニング(DR/自律航法)の性能向上により GNSS がまったく当てにならない、長いトンネルや高層ビル群のなかで、ほぼ法定速度で安定走行できたことが今回の成果だと思います。LiDAR の雨対策が必要なことかとも思います」
そう語るのは、埼玉工業大学 工学部 情報システム学科 渡部大志 教授(同大学 自動運転技術開発センター センター長)。
渡部大志 教授をはじめ、埼玉工業大学の学生たちが実装レベルに向けて常に安定走行に向けて進化させている注目車両が、埼玉工業大学 日野レインボーIIベース 自動運転AIバス。
後付け自動運転AIシステム搭載バスが新宿をオート走行
埼玉工業大学が保有・開発する、日野レインボーIIベースの自動運転AIバスは、2019年から兵庫県 播磨科学学園都市、愛知県 日間賀島、長野県 塩尻市、栃木県 茂木町、千葉県 千葉市、愛知県 常滑市、千葉県 幕張新都心、愛知県 長久手市と、各地での実証実験を重ねてきたバス。
その最大の特長は、既存の路線バス車両に自動運転AIシステムを後付けして、オートで路線バス営業を実現させる仕組み。
こうした特長から、埼玉工業大学 日野レインボーIIベース自動運転AIバスは、各地の鉄道事業者系路線バス会社と手を組み、地方特有の道をオートで走ってきて、すでに自動運転走行距離はゆうに1万kmを超えた。
そんな埼玉工業大学 自動運転AIバスが、いよいよ東京都内をオートで走り出した。
しかも、新宿のど真ん中の街なかを、京王バスの運転手によって、実証実験ではなく既存の都庁循環(CH01系統)と同一路線(約2.0km)を自動で走ったのだ。
都庁循環(CH01系統)をオートで初めて運行
今回は、東京都都市整備局「令和5年度自動運転社会を見据えた都市づくりに関する調査検討業務委託」を受託する、パシフィックコンサルタンツが全体運営管理となり、京王バスが運行事業者となり、埼玉工業大学が車両提供者として、西新宿エリアでの自動運転バスの運行に参加。
埼玉工業大学 日野レインボーIIベースの自動運転AIバスが、東京都内の公道をオートで走るのは初。
オートで走る路線は、新宿駅西口(地下)を起点として、新宿副都心四号街路を通り、新宿駅西口(地下)に戻ってくる都庁循環(CH01系統)と同一経路(約2.0km)で、今回は再現性を重視し、新宿駅西口のロータリーだけはあえて手動で走る設定にしている。
西新宿での運行から、10月後半には川崎鶴見臨港バスで実証運転へ
今回の東京都都市整備局「令和5年度自動運転社会を見据えた都市づくりに関する調査検討業務委託」受託自動運転バス運行(都庁循環 CH01系統)を経て、埼玉工業大学 工学部 情報システム学科 渡部大志 教授(同大学 自動運転技術開発センター センター長)は、今後のアップデートや展開について、こう伝えた。
「東京・西新宿の多くの方々の目につくところで、試乗いただく機会をいただき、大変ありがたく思っています。
この西新宿運行のあと、すぐに10月後半に川崎での実証を控えています。
川崎の運行では同じように、高架の下をずっと走る経路で、GNSS がほとんど使えない道路で走行します。今回の走行技術が生かせると思います」(渡部教授)
「AI/ITの自動運転技術への応用を学べるリアルな教材」
また、この既存路線バスに自動運転AIシステムを後付けするタイプのバスは、埼玉工業大学 工学部 情報システム学科を中心とする、同大学の“生きた教材”としても活用され、毎日のように学生たちの手でアップデートされている。
「自動車産業が、電動化・自動化で100年に1度の大変革を迎える時期で、自動車関連産業の方々が変革への対応を模索しています。
本事業は、このような変革への対応模索を、多くの学生・教職員と連携しながらすすめるものであり、AI/ITの自動運転技術への応用を学べるリアルな教材となっています。
そういった観点から、多くの学生にとって、このプロジェクトに参加することは、就職活動に少なからず有利に働くと思われます」(渡部教授)
―――「諸先輩方とともに、少しでも早く自動運転の社会実装をめざしたい」と渡部教授も期待を込める、埼玉工業大学 日野レインボーIIベースの自動運転AIバス。
今回は東海理化とも協業し、画像認識技術・遠隔監視システムも実装に向けてメンバーで確認。10⽉23~27⽇には、京急電鉄グループの川崎鶴見臨港バス 臨港バス塩浜営業所〜産業道路〜⼤師橋駅で、埼玉工業大学 日野レインボーIIベース 自動運転AIバスが走るから、気になる人は公式発表をチェックしてみて↓↓↓
https://www.keikyu.co.jp/assets/pdf/20230901HP_23067TE.pdf