GEヘルスケアと熊本大学が 医工融合による共同研究開発を加速、産学連携で新医療システムやネットワーク構築めざす

医療の課題解決に取り組むGEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市)と熊本大学は、10月25日に包括連携協定を締結。工学技術と融合プロジェクトの実施を目指し共創し、最先端のデジタルテクノロジーや新たな医療機器を開発していく。

また今回の包括連携協定を通じ、他に先駆けて熊本大学を中心に進められてきた医工融合による共同研究や、プロジェクトの開発・実施を支援し、同地域の医療の課題解決に貢献していく。

医工融合によるソリューションの先駆的存在

熊本県では山間部を中心に急激な高齢化および人口減が進むことに加え、自然災害が多発することから、熊本大学を中心に早くから医工連携による共同研究が模索され、産業界においても半導体関連企業の進出が進むなど、医工の融合によるソリューションの構築が進められてきた。

そのなかでも注目されるのが、日本人の死因としてがんに次いで高いとされる心疾患(高血圧を除く)のひとつ、心不全パンデミックの対応で、医療施設や在宅、さらには多職種の連携などシームレスに行うための医療機器の開発やシステム構築が求められている。

産学連携で新たな医療システムやネットワークを構築

また、災害時などの有事における医療提供体制の維持には、人の稼働やテクノロジーなどさまざまなリソースをリアルタイムに組み合わせながら、限りある医療資源の有効活用を可能にするデータ連携や通信技術の進展が欠かせない。

これらは熊本県に限らず日本の各地の課題であることからも、産学の連携を通じて新たな医療システムやネットワークの構築を視野に入れたソリューションの社会実装をリードしていくことが求められている。

臨床的に意義あり、安全でコスト効率的な実装へ

「人と人をむすぶ医療」を理念に掲げる熊本大学医学部から地域医療の課題特定と知見を得つつ、「熊本から未来を拓く-人間社会と地域環境との共生の実現を目指して-」を理念に掲げる同大工学部と、GEヘルスケアが医工連携を通じ、新技術のアイデア創出を促進しながら、臨床的に意義がありかつ安全でコスト効率的な実装につなげられるよう取り組んでいく。

熊本大学の工学部や、先端科学研究部には、工学の分野から医療課題に取り組む研究の実績や人材がある。また、熊本県内へ半導体関連企業が進出してきていることからも、包括連携協定の枠組みを活かし、医学的、工学的、ビジネス的見地から連携することで、複数の分野にまたがるプロジェクトから生まれるイノベーションを熊本で創出、実装し、全国へ、海外へと活用されるよう、医工連携の取り組みを加速させていくという。

熊本大学「相互に協力し、地域社会の発展へ」

熊本大学 小川久雄 学長は「GEヘルスケア・ジャパンは、日本の医療課題解決のために、日々取り組まれ、世界レベルの医療技術と知見を通じ、より質の高い持続的な日本医療の提供に尽力されています」と伝え、こう続けた。

「これまでも、熊本大学との間で個別課題について連携を行ってきましたが、超高齢化・少子化をはじめとしたさまざまな地域課題は、熊本県においても深刻です。

今回の協定締結により、これらの地域課題等の解決に向けたさらなる連携推進のための枠組みをつくり、健康寿命の延伸を目指して、医療や健康づくりに関わる研究、人材育成、地域連携などについて、相互に協力し、地域社会の発展に取り組んでまいります」

GEヘルスケア「プロジェクト成果を他地域へ展開」

また、GEヘルスケア・ジャパン 多田荘一郎 代表取締役社長兼CEOはこう伝えた。

「今回、熊本大学様と医工連携を通じた地域の医療提供体制の強化に向けた包括協定を締結し、課題解決に向けて共創できますことを心よりうれしく思っています。

高齢化、労働人口の減少による過疎化、医師の偏在や不足などは熊本県を含む日本の各地方で課題となっています。熊本大学様との連携を通じて実施させていただくプロジェクトの成果は、熊本県のみならずさまざまな地域でも活用いただけることと確信しています。

医学的な観点だけでなく、工学的な知見と融合することで新たな医療技術の構築・実装を熊本県からリードし、日本の各地に広めていくことができるよう共に取り組んでいきたいと思います」

◆GEヘルスケア・ジャパン
https://www.gehealthcare.co.jp/