桜前線の影にかくれて地味な存在だけど、この花の前線も着実に北上し、黄色いじゅうたんで人を魅了させるのが、菜の花。
菜の花と鉄道といえば、小湊鐵道を想い起こす人も多いけど、「なの花」という車両愛称や、黄色いじゅうたんの沿線風景で親しまれる路線に、流鉄 流山線がある。
ってことで、流鉄 流山線に2000形 なの花が走っていた2011年にプレイバック。こんなときは、WEBでバーチャル散歩といこう。
馬橋から流鉄2000形なの花で、菜の花いっぱいの江戸川河川敷へ
千葉県松戸市・流山市にまたがる流鉄 流山線は、JR常磐線 馬橋駅が起点。
馬橋駅の隠れた名物、鉄道用品のワム80000 285555 に手を振りながら、黄色い流鉄2000形が待つ流山線のりばへ。
流鉄2000形は、みてのとおり、西武701・801系を改造したくるま。西武鉄道所沢車両工場で、同系列の中間車に先頭車の運転台をくっつけてつくった2両編成で、その運転台直後に立ってガタンゴトン。
めざすは流山駅の西、江戸川河川敷にいっぱい咲く菜の花に会いに―――。
単線の流山線、西武電車の新旧が小金城趾で交換
馬橋と流山、5.7kmを結ぶ流鉄 流山線は、1916年に開業した100年超えの路線。
その歴史や散歩に役立つ話題は別の記事で伝えるとして、馬橋からふたつめの駅、小金城趾へ。
単線の流山線は、この小金城趾駅で上下線の列車交換をするシーンがみえる。
この日は、西武101系を改造した5000形 流星 と交換。千葉のローカルで、オレンジ色と黄色の西武電車の新旧が並ぶ姿もおもしろい。
春にぴったり、若葉と菜の花が並ぶ流山
流山線の終点、流山駅。
留置線には、同じく西武101系を改造した流鉄3両編成版3000形 若葉 がいた。
この瞬間、いま流行りのHMDのような2枚窓の2形式が並び、ちょっとどきどき。
で、流山駅を降りてみると……。
駅前の誘惑に負けそうになって……
鉄道模型の駅舎キットのモチーフになってそうな、ベージュの三角屋根と、クリームの外壁。そこで客を待つトヨタ クラウンのタクシー。
飛び出た駅舎を振り返って、あらためて「いいね」と思いながら、ふたたび菜の花が咲く江戸川河川敷へむけて歩こうとすると、いきなり目の前で足を止めさせたのが、酒処えど川。居酒屋と赤い字で記されたのれんがゆらゆら……。
いまはもうないけど、2011年の春は、こんな流山オアシスが存在していた。
いやいや、もう少しがまん。とにかく江戸川河川敷に咲く菜の花に会いに……ってことで、駅から西へ5分ほどあるくと……。
キターーーッ!いちめん菜の花の河川敷!
流鉄 流山線 2000形 なの花 かーらーのーっ、菜の花の江戸川河川敷。
斜面がぜんぶ菜の花。その間にできたあぜ道をかけあがり、土手上にのぼると、見事、両脇が黄色いじゅうたんで満たされた道!
菜の花に囲まれながら深呼吸して、穏やかな江戸川の水面を愛でる。川面をなでる風に、菜の花がゆらゆら。
ゆらゆらで思い出した。さっき流山駅でみかけた、のれんゆらゆらの酒処えど川。
ちょっと怖い感じの常連の人たちに混じって、瓶ビールと厚揚げを。
これがまた、うまいっ! なんで、じぶんちでいつも食べてる厚揚げが、こんなにうまいんだろ。
常連とカウンターなかの人との会話を聞きながら、酔っ払った。うまかった。ごちそうさま。
「お会計お願いしまーす」。レシートをもらって、のれんをくぐって外へ出ると、さっき乗ってた2000形なの花が、すーすー寝てた。