「出社と在宅のハイブリッドワーカーは要注意」
「睡眠トラブルが増加傾向で、生活リズムが乱れやすく、社会的時差ボケという新たな課題も」
―――そんな調査結果を公表したのは、第一三共ヘルスケア。
イノベーティブ医薬品(新薬)・ジェネリック医薬品・ワクチン・OTC医薬品などを手がける第一三共グループの第一三共ヘルスケアは、働く人の「健康とセルフケアの実態調査」を実施。
自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が、人生100年時代の日本に重要なテーマになることを見据え、全国の20〜60代の働く男女1,000人に調査した結果、セルフケアと「睡眠」の関係性が見えてきた。
そのおもな調査結果が……。
コロナ禍で約4割が「良い睡眠がとれていない」
●コロナ禍以前に比べ、半数以上が「自分の体調変化に敏感になった」、3割が「自身のセルフケアの意欲が上がっている」と自覚。
●自身のセルフケア実践率は約半数。コロナ禍以降、2020年3月の調査結果から年々低下。
●セルフケアの意欲が「上がった」と自覚する人のうち、約4割は「セルフケアが実践できていない」と矛盾。
●「セルフケアが実践できていない」と回答した理由として、「仕事が忙しい」に次いで、約4割が「良い睡眠がとれていない」と回答。
働く人の約4割が睡眠トラブルを自覚
●働く人の約4割が睡眠トラブルを自覚。
●約6割が自身の睡眠の質に「不満」。不満を感じる人の約8割が「改善したい」と回答。
●「セルフケアが実践できていない」と回答した人は、睡眠の質に「満足している」割合が約2割にとどまる。
ハイブリッドワーカーに睡眠トラブル多発
●テレワークをしている人は約半数が「働き方に柔軟性が生まれた」と感じる一方、4人に1人は「自己管理が必要」と回答。
●テレワーク日数が週5日以上の人に比べ、週1~4日のハイブリッドワーカーは、睡眠トラブルが多く、睡眠の質への満足度も低い傾向に。
「セルフケアのために市販薬は役立つ」
●今後の変化として、「健康がますます重要」「セルフケアがますます重要」「70歳を過ぎても働く人が増える」と回答した人はいずれも8割以上。
●市販薬への意識、「セルフケアのため市販薬についてもっと知識を増やしたい」、「セルフケアのために市販薬は役立つ」。
―――第一三共グループ産業医 鄭理香先生は、今回の調査結果を受けて、「働く人のためのセルフケアを」とアドバイスする。
「睡眠はセルフケアのバロメーター、睡眠を整え社会的時差ボケ解消」第一三共グループ産業医がアドバイス
今回の調査結果では、セルフケアに対する意欲が上がっている人のうち、実践できていないという人が約4割もいました。
理由を見ると、「運動・体を動かす機会が減った」「良い睡眠がとれていない」と回答した人が多く、生活のリズムや生活習慣が乱れていることが要因となっているようです。
セルフケアは、感染予防のための手洗い習慣から、健康のために食事や運動、睡眠に気を使うことまで、自分でできる幅広い領域が対象となります。
今回の調査では、セルフケアが実践できていないと回答した人の多くが「良い睡眠がとれていない」を理由に挙げており、睡眠がセルフケアのバロメーターとなっていることがうかがえます。
睡眠は一日の中で長い時間を占めることから、生活リズムに大きく影響します。
調査によると、コロナ禍以前は平日と休日で睡眠時間の差が生じていましたが、コロナ禍で外出自粛になったことで睡眠時間が一定になり、平日と休日の生活リズムの差、いわゆる「社会的時差ボケ」が解消されたことが分かっています。
睡眠時間を同じにするだけで、生活リズムが整うことが示されています。
テレワークしたり・しなかったりのハイブリッドワークは睡眠トラブルに
コロナ禍が長くなり、現在では、通勤と在宅のハイブリッドワークが多くなっているようです。
今回の調査では、テレワークの頻度別に睡眠トラブルを調べていますが、日中活動しているときに眠気を感じた人は、全体平均(39.8%)に比べて、週に5日以上のほぼテレワークの人では24.6%と少ないのに対し、週1〜4日程度のハイブリッドワークの人では42.3%と多くなっています。
このことから、生活リズムが一定だと睡眠トラブルは減少しますが、テレワークをしたり・しなかったりのワークスタイルだと生活リズムが乱れやすく、睡眠トラブルが多くなると考えられます。
出社と在宅のハイブリッドワークは、これからの働き方の主流となりそうですが、生活リズムが乱れやすく、社会的時差ボケという新たな課題が生まれそうです。
生活リズムが乱れがちなハイブリッドワーク、ポイントは「朝同じ時間に起きる」
社会的時差ボケに陥らないポイントは「朝」です。
テレワークの前日は、通勤時間を考慮しなくていいので、つい夜更かししがちですが、毎朝決まった時間に起きて、日光を浴び、朝食を食べることを心掛けましょう。
産業医として、「生活が不規則になって眠れない」という相談が増えていますが、何時間寝たかといった睡眠時間を気にするよりも、毎朝同じ時間に目覚めることを意識するようアドバイスしています。
出社でも在宅でも、「朝同じ時間に起きる」ことで生活リズムが整います。
セルフケアに役に立つ市販薬。正しく理解して上手に使う
ハイブリッドワークは生活リズムが乱れやすくなるので、これまで以上にセルフケアが重要になると思います。
今回の調査では約7割の人が「市販薬はセルフケアに役立つ」と答えているように、風邪や頭痛など症状が重くなければ、すぐに病院にかからなくても市販薬で対処できます。
市販薬にはさまざまな種類があり、正しく選んで使うことが重要です。
市販薬の正しい活用方法などは意外と知られていないことが多いので、セルフケアの一環として調べてみることをお勧めします。
セルフケアは楽しみながら取り組むことが肝心です。
セルフケアをすることがストレスになっては意味がありません。
真面目な人ほど、きちんとやろうと頑張りすぎてしまいます。スモールステップで少しずつ、よい習慣を長く続けることを心掛けてください。
(第一三共グループ産業医 鄭理香)