◆ 高齢者を約18年間追跡調査した結果、抑うつ症状は4つの「症状のタイプ(構造)」によって健康寿命への影響がそれぞれ異なっていた。
◆ 男性では「無価値感」が、女性では「不安感」が要介護化または死亡リスクの上昇と関連があった。
◆ いっぽう、女性は「不幸感」が要介護化または死亡リスクの低下と関連していた。
◆ この研究で、抑うつ症状のタイプに応じたメンタルヘルスケアが健康寿命の延伸に寄与する可能性が出てきた。
―――そんな研究結果を公表したのが、東北大学産学連携機構イノベーション戦略センターの永富良一特任教授(研究当時:同大学大学院医学系研究科運動学分野教授)と、医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動ガイドライン研究室の門間陽樹室長(研究当時:同分野准教授)、福原浩之大学院生(研究当時)らの研究グループ。
同研究グループは、仙台市鶴ヶ谷地区在住の高齢者585名を対象とした「鶴ヶ谷プロジェクト」で、抑うつ症状のタイプ(構造)と健康寿命(要介護化または死亡までの期間)との関連を調査。
追跡開始時点(2002年)の抑うつ症状の因子分析を行った結果、抑うつ症状は無価値感、不安感、不幸感、活力の低下が主体となる4つのタイプに分かれることがわかった。
さらに約18年間の追跡調査の結果、これらの抑うつ症状のタイプによって健康寿命への影響が異なることが明らかに。
男性では「無価値感」、女性では「不安感」が強いほど要介護化または死亡のリスクが高いことが示された。
いっぽう、女性における「不幸感」は予想に反しリスクの低下と関連していた。
本研究は、抑うつ症状を単純に総合的に評価するのではなく、その内訳に注目する重要性を示すもので、個別化された予防戦略の必要性を示唆している。
本研究成果は、2026年4月25日に Journal of Psychiatric Research 誌に掲載された。
―――本研究の結果から、高齢者の抑うつ症状の評価においては、総点数だけでなく症状の内容によってその後の健康寿命への影響が異なること、また男女では抑うつ症状の内容によって健康寿命への影響が異なる可能性があることが明らかに。
これは、高齢者における抑うつ症状において、内容や性別によって異なる介入戦略を考慮する必要があることを示すもので、抑うつ要因を起点とした地域の要介護予防・健康寿命延伸の政策に重要な示唆を与える。
本知見をもとに、今後は高齢者の抑うつ症状である「無価値感」や「不安感」に対してそれぞれどのような介入戦略が有効なのかを、公衆衛生の立場から検討していくことが重要という。
