「高カカオチョコレート摂取は高強度筋力トレーニングによる動脈硬化度の増加を速やかに低下させることから、筋力トレーニング前には高カカオチョコレート摂取を」
―――そう研究結果を伝えたのは、日本体育大学 体育学部 岡本孝信 教授 秦麗ら 助教。
日本体育大学 研究チームが発表
「ザ・カカオ」「チョコレート効果」などの明治は 11月27日、都内で「筋トレのリスクをカカオが守る!〜カカオがサポートする“賢いトレーニング”〜」を開催。
会場には、明治 グローバルカカオ事業本部 萩原秀和 本部長、日本体育大学 体育学部 岡本孝信 教授、同 秦麗ら 助教、ゲストに関口メンディー・池田美優(みちょぱ)が登壇し、この研究結果について共有していった。
カカオポリフェノールなどが血管機能を改善
高カカオチョコレートは、カカオポリフェノールを多く含み、これらが血管機能を改善することが知られている。
明治と日本体育大学による研究では、カカオポリフェノールを含む高カカオチョコレートと、含まないホワイトチョコレートを摂取した場合に、健康な若年男性が高強度レジスタンス運動後に示す動脈スティフネスの変化を比較調査。
高カカオチョコレートの摂取が運動後に増加する動脈スティフネスを速やかに低下できる可能性があると仮説を立て、研究した結果を公表した。
筋力トレーニング前には高カカオチョコレート摂取を
日本体育大学 体育学部 秦麗ら 助教は、「筋力トレーニング前の高カカオチョコレート摂取による効果」について研究結果を発表。
ここで、高強度のレジスタンス運動(筋力トレーニング)前の高カカオチョコレート摂取が、運動により増加する動脈スティフネス(動脈の硬さ)の速やかな低下につながることが判明したことを伝えた。
この研究成果は、2025年9月に国際学術誌 Journal of Exercise Science & Fitness に掲載された。
Hata U, Hashimoto Y, Natsume M, Okamoto T., J Exerc Sci Fit. (2025)23:409–415;https://doi.org/10.1016/j.jesf.2025.08.005
研究成果 筋力トレーニング前の高カカオチョコレート摂取による効果
1)高強度レジスタンス運動直後には動脈スティフネスが有意に増加した。
2)運動前に高カカオチョコレートを摂取した場合、運動により増加した「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」※2が 30分後には、ホワイトチョコレートを摂取した場合と比較して有意に低下することがわかった。
3)高カカオチョコレートを摂取した場合、「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」は摂取前と有意差がない程度にまで、回復が認められた。いっぽう、ホワイトチョコレートを摂取した場合は、運動 60 分後でも摂取前と比較して有意に高い値を示し、回復していなかった。
※2 上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV):心臓の拍動で生じた脈波が、上腕と足首に伝わる速さのこと。動脈スティフネスの評価指標のひとつで、中心動脈と末梢血管を併せた全身の動脈スティフネスを評価できる。動脈がやわらかいと脈波の伝わりが遅く、baPWV 値は低くなる。
明治「高カカオチョコレートによる血管機能改善をさらに研究」
この研究成果を受け、明治は「高カカオチョコレートによる血管機能改善をさらに研究していく」という。
「レジスタンス運動は、サルコペニアなどの予防に有効な方法として推奨されています。
しかし、とくに高強度のレジスタンス運動では動脈スティフネスが増加し、心臓や血管への負担となることが知られています。
したがって、運動により増加した動脈スティフネスを速やかに低下させることは、血管への負担を軽減し、運動の恩恵を受けることにつながります。
今後、高カカオチョコレートによる血管機能改善の研究を通じて、お客さまのこころとからだの健康に貢献してまいります」(明治)
明治と日体大による考察
高強度レジスタンス運動前に高カカオチョコレートを摂取すると、運動後に増加した動脈スティフネスの指標である「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」が速やかに低下することが確認できた。
また、中心動脈(頸動脈など)の柔軟性、硬化度指標(動脈コンプライアンスや β-スティフネス)には有意な変化は認められなかった。
このことから、高カカオチョコレートの摂取効果はおもに末梢動脈に現れ、中心動脈には影響しなかったと考える。
