埼玉工業大学や東海理化の技術を結集、アイサンテクノロジーの自動運転大型バスが国や愛知県の期待を背負って全国各地へ視界良好ランウェイ…

ドライバーが車内にいない特定自動運行、いわゆる自動運転レベル4がことし4月に道路交通法で許可され、全国で自動運転バスの実証実験が活発化した2023年。

自動運転バスの世界はどう進化し、どんな走りをみせてくれたか―――。

アイサンテクノロジーが「15地域のプロジェクト」に参画

そんな自動運転バスの“いま”を感じる最新トピックスが、アイサンテクノロジーが11月末に愛知県津島市で公開したいすゞ「エルガ」ベースの自動運転大型バス。

アイサンテクノロジーと同グループ A-Drive は、自動運転技術を用いて地域課題の解決をめざす「地域公共交通確保維持改善事業補助金(自動運転実証調査事業)」(国土交通省)に採択された「15地域のプロジェクト」に参画。

15地域とは、福島県磐梯町、茨城県つくば市、埼玉県深谷市、神奈川県、神奈川県平塚市、富山県富山市、長野県塩尻市、岐阜県中津川市、愛知県名古屋市、愛知県常滑市、三重県桑名市、京都府、奈良県宇陀市、岡山県備前市、福岡県北九州市。

新あいち補助金を活用し、いざ各地の舞台へ

今回、アイサンテクノロジーが公開した自動運転大型バスは、全国の路線バスなどで活躍している いすゞ「エルガ」をベースに、同タイプの日野レインボーIIに後付け自動運転AIシステムを載せて研究・開発をすすめる埼玉工業大学をはじめ、名鉄バス、東海理化、名古屋大学などのパートナーたちの支援も受けて完成させた一台。

この自動運転大型バスの開発費用は、新あいち補助金(2022・2023年度実績)を活用し、ここまでこぎつけ、これからいよいよ各地の“自動運転ステージ”で走り出す。

アイサン+パートナーの最新技術を搭載

アイサンテクノロジーが公開した今回の自動運転大型バスは、GNSS+NDT+GMPS 方式に対応、LiDAR 8本、GNSSアンテナ2本、認識用カメラ2本、Rader 2本、車室外カメラ12本、車室内カメラ5本などが組み合わさる。

これまで実証実験で試されてきた位置推定機能やカメラ信号認識、カメラ障害物検知向上、遠隔監視機能、セーフティードライバー用HMIなどがさらに向上したほか、60km/h動運転走行もレベル2で実現させている。

埼玉工業大学の位置推定・車両制御技術がインストール

こうした自動運転大型バスの位置推定や車両制御の技術は、これまで日野レインボーIIで後付け自動運転AIシステムを載せて全国各地の実証実験を重ねてアップデートしてきた埼玉工業大学の技術が活かされている。

(動画は京急電鉄グループ川崎鶴見臨港バス路線テスト走行時の埼玉工業大学自動運転AIバス)

埼玉工業大学とアイサンテクノロジーは、自動運転技術の研究・開発において、協力関係を強化するために連携協定を2023年春に締結。

両者は、自動運転の社会実装の推進に向け、Autoware をベースにした自動運転車両の開発や構築、各種実証実験の参加において協力関係を強化し、自動運転レベル4 対応に向けても連携している。

今回のアイサンテクノロジー自動運転大型バスに埼玉工業大学の自動運転AIシステムがインストールされているのも、こうした連携の一環。

今後も両者は連携協定にもとづき、協力関係を強化し、それぞれの強みを活かした連携により、レベル4 対応を含め社会ニーズに対応した自動運転技術の開発、バス車両開発を継続し、実証実験に積極的に取り組んでいくという。

全国の路線バス事業者からも注目を集める埼玉工業大学 後付け自動運転AIシステム

人間社会学部と工学部の2学部で文系・理系の枠を超えた多彩な学び・研究を続けている埼玉工業大学は、独自の自動運転AIシステムをいち早く“生きた教材”として採り入れ、大学の教材でありながら、全国各地の自動運転実証実験でテスト走行を重ね、いまでは全国の路線バス事業者から共同事業のオファーがくるまでに進化してきた。

埼玉工業大学が開発する自動運転AIシステムは、既存の路線バス車両などに後付け(あとづけ)で改造して自動化を実現できる点に独自性がある。

既存の路線バス車両を後付けで自動化できることから、全国の路線バス事業者からも注目を集めている。

実装化へむけてアップデートする大学教材

既存の路線バスで活躍していた日野レインボーIIを改造し、埼玉工業大学の自動運転AIシステムを組み入れることで、できる限り運転手のハンドル・アクセルの介入がない運転を実現させたこの埼工大自動運転AIバスは、停留所への正着も数ミリ誤差の枠で高精度にこなしていく。

全国各地の鉄道事業者系路線バス会社と手を組み、地方特有の道をオートで走り続け、自動運転走行距離はゆうに1万kmを超え、いまもアップデートを重ねている。

(バス車両画像は京急電鉄グループ川崎鶴見臨港バス路線テスト走行時の埼玉工業大学自動運転AIバス)

1月には埼玉県深谷市で無料試乗会開催

既存の路線バス車両に後付けする埼玉工業大学 自動運転AIシステムは、実装レベルに向けて、関係者や学生たちのプログラム更新を重ね、毎日進化を遂げ、2024年1月には大学キャンパスがある埼玉県深谷市で「渋沢栄一新一万円札発行記念 自動運転バス試乗会」として新たなスタートを切る。

1月13・18・19日の3日間には一般無料試乗会、1月12・15~17日の4日間に関係者無料試乗会を実施。

運行ルートは、渋沢栄一記念館を発着地点とし、鉄道廃線跡の遺構が点在する日本煉瓦製造専用線跡地をかすめてぐるっと一周する循環ルート約13.6km。

―――全国各地の自動運転大型バスに入り込む勢いの、埼玉工業大学の後付け自動運転AIシステム。

埼玉工業大学 工学部 情報システム学科 渡部大志 教授(同大学 自動運転技術開発センター センター長)は、「アイサン自動運転バスプロジェクトは、学生と教員の協力により、産学官連携のもと進展しています。この先進技術は、交通の未来を再定義し、受験生や学生に新たな夢と可能性を提供する埼玉工業大学の象徴です」と伝えていた。