幕末、京都の豪商 三井家に生まれ、幼少期はおてんばで読書好き。17歳で大阪の豪商・加島屋に嫁ぎ、明治維新の激動のなか経営を立て直し、どんな苦難にあっても決してあきらめず、「九転十起」の精神でまい進した女性―――広岡浅子。
「九州・筑豊での炭鉱事業、銀行の設立、大同生命保険の創業、日本初の女子大学校設立への尽力……まだまだ男性が中心だった社会で、どんな苦難にあっても決してあきらめず、さまざまなビジネスに挑戦し続けた彼女の座右の銘は「九転十起」でした」(小学館版 学習まんが人物館 広岡浅子)
この広岡浅子の生涯を描いたのNHK連続テレビ小説「あさが来た」(2015年9月~)で、広岡浅子の役を波瑠が演じ話題を集めたころから8年。実はいま、ベトナム人たちが日本のマンガを読んで広岡浅子の人生に共感している。
それが、大同生命×小学館学習まんが人物館「広岡浅子」ベトナム語版読書感想文コンクール
大同生命(T&D保険グループ)は、日本・ベトナム外交関係樹立50周年を記念し、小学館学習まんが人物館「広岡浅子」ベトナム語版読書感想文コンクールを開催。
在日ベトナム人・ベトナム在住者、そのほかベトナム語を母国語とする人を対象に読書感想文を募集し、加藤栄 ベトナム文学翻訳家(もと大東文化大学国際関係学部国際文化学科准教授)、京都精華大学マンガ学部 大谷じろう教授(漫画家)、小学館 安達健裕 学習まんが・百科編集長、ズオン・チ・ツェト・ミン翻訳家、毎日新聞社 岩崎日出雄 国際事業担当、大同生命保険 中山鉄平 サステナビリティ経営推進室長らが審査した。
このコンクールに応募した人は、想像を超える655人。その応募作品たちのなかから、最優秀賞(1作品)、優秀賞(5)、入選(4)、特別賞(2)が選ばれ、その授賞式が11月10日に行われた。
同授賞式には駐日ベトナム社会主義共和国大使館 ヴー・テイ・リェン・フォン 二等書記官教育部長、民間外交推進協会 湯下博之 専務理事(もと駐ベトナム日本国大使)、ベトナム協会 小川弘行 常務理事らも参加し、ベトナムとの文化交流促進をめざして受賞作品を讃えた。
「作品に対する熱量が男性よりも上回ったんじゃないか」
この大同生命×小学館学習まんが人物館「広岡浅子」ベトナム語版 読書感想文コンクールで最優秀賞(賞金5万円)を獲得したのは、ヒエンさんの作品。
ヒエンさんは小学館学習まんが人物館「広岡浅子」を読んだあとの印象について、こう伝えた。
「まずこの内容がノンフィクションであることに驚いた。当時の女性という立場にとどまらず第一線で活躍し、人として魅力的で共感するすばらしい生き方を貫いた人だったと。こうした女性の活躍が、世界中でもっともっと広まっていけば」
また、ベトナム文学翻訳家 加藤栄 審査員は、日本とベトナムの両国から650人以上の作品が集まり、女性作品の入賞が多くを占めたことについてこう考察した。
「ベトナムではいまだに、地方の農村などではとくに当時の価値観・風習が残っているところもあることから、小学館学習まんが人物館「広岡浅子」の主人公、広岡浅子が女性だからこその共感や学びが多く、作品に対する熱量が男性よりも上回ったんじゃないか」
―――今回のコンクールで大同生命は、「中小企業を守る保障をラインナップし、さまざまな課題の解決に向けた支援を通じ、日本企業全体の99%を占める中小企業の永続的な発展に貢献していく」とも伝えていた。