日本照明工業会 JLMA Lighting 5.0 未来のあかりアイデアコンテスト2023 最優秀賞は TOPPAN の4人組が考えた「住人灯色」に

「こんな “あかり” があったら便利だ」「こんな “あかり” があれば、こんな問題が解決するのに」 「こんな “あかり” の使い方ができれば暮らしが変わる 」といった、「未来のあかり」のアイデアや、機能、新しい使い方などのさまざまなアイデアを競い合うコンテスト―――「Lighting 5.0 ~未来のあかりアイデアコンテスト2023~」。

この「Lighting 5.0 ~未来のあかりアイデアコンテスト2023~」は、日本照明工業会(JLMA)が提唱・定義する新時代のあかりの概念である「Lighting 5.0」を広く推進するため、「Lighting 5.0」の持つ4つの価値「健康」「安全」「快適」「便利」がもたらす、みんなの暮らしを豊かにする、未来のあかりのアイデアを募集。

その最優秀賞などが決まり、都内で表彰式が行われ、特別審査員を務める NEWYOUTH 代表取締役で慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 特任准教授の若新雄純 代表のほか、JLMAアンバサダーパックン、日本照明工業会 西原隆史 会長、最優秀賞受賞者、学生特別賞受賞者、優秀賞受賞者、特別審査員賞受賞者などが登壇。「灯りの近未来と可能性」を共有した。

最優秀賞は「住人灯色 -JUNIN TOIRO-」とんがり帽子 TOPPAN

最優秀賞は、とんがり帽子 TOPPAN(田中瑛人さん/岡部諒さん/小野彩音さん/神山航平さん)「住人灯色 -JUNIN TOIRO-」に。

場所、光量、色温度、範囲を自由にカスタマイズできることにより、一人一人の生活シーンに合わせて変化するあかりを提案し、見事、最優秀賞に。

―――若新雄純 特別審査員は、このアイデアについてこう評価。

「ぼくたちの生活は、パブリック(公的)な空間とプライベート(私的)な空間、そのどちらかだけでは成り立たない。どちらかだけでは落ち着かない。

公と私の間にある「共」の時間・空間があるから、主張がぶつかったり、すれ違ったり、脱線から何かが交わったりつながったりして、落ち着いて「居」られる。

光がぶつかるとき、ぼくたちは優しく交わっていられる。「住人灯色」は、そんな『必要ぶつかり』を与えてくれる気がする」(若新雄純 特別審査員)

―――また、コンテスト実行審査員もこう評価した。

「在宅勤務もひとつのライフスタイルになり、住空間照明に求められる照明はとても多様化してきていると感じています。

そのなかで、一人ひとりの生活シーンに併せて変化するあかりを生活者目線で提案いただきました。

あかりが自動でついてきてくれる機能などより具体的な内容が盛り込まれ、近未来はこんな風になっているのではと思える、最優秀賞に相応しいアイデアでした。

チームで応募いただき、メンバーの皆さんのアイデアがとても素敵に盛り込まれていました」(コンテスト実行審査員)

優秀賞「インビジブルライト」北九州市立大学国際環境工学部 福田祐美研究室

そして優秀賞は、北九州市立大学国際環境工学部 福田祐美研究室(川上そよ香さん/河野真悟さん/天野瑛太さん)の「インビジブルライト」。

照らすのではなく、先を見えなくするあかり。これを用いることで簡単に空間の区画ができる。

先は見えなくなるが、光なので通り抜けることができ、また不透明度を設定することで暗さの加減もできる。

これがあることにより、壁などの本来建築的に必要だったものが必要なくなり、大きなスペースだけを用意してこの照明で用途に合わせてフレキシブルに区画できる……と提案した。

「光は照らすものという固定概念にとらわれない、先を見えなくするあかりは、とても斬新なアイデアでインパクトが大きい内容でした。

少し専門的になりますが、光は反射するもの(照らされるもの)がないと認識できませんが、このアイデアが実現するとあかりの用途がとても大きく広がる可能性があります。

使われ方もしっかり検討されていて、新しいアイデアとして高く評価されました。ゼミのメンバーの皆さんということで、仲良く検討いただいたこともしっかりと伝わりました」(コンテスト実行審査員)

若新雄純 特別審査員の総評に会場は惹き込まれて……

若新雄純 特別審査員は、今回の「Lighting 5.0 ~未来のあかりアイデアコンテスト2023~」について、幼い頃のエピソードをまじえてこう伝え、会場を湧かせた。

「そういえば小さいころ、常夜灯をつけて布団に入るのだけど、まだ眠りに落ちてないのに、オカンが覗きに来て(もう寝たものだと決めつけて)、わざわざスイッチを切っていった。

毎晩。目を閉じてるから、真っ暗になったことがはっかり分かるわけじゃないけど、闇に包まる感覚はあって、何回かに一回は『消さないでよ!』って叫んだ。

オカンは、『あんただけのものじゃないんやで!』と怒った。灯りはいつも、僕たちの心のゆらぎや、誰かとのつながり・しがらみを照らし出す」(若新雄純 特別審査員)

今回の最優秀賞・優秀賞のほか、各賞のアイデアや評価は公式サイトで詳しく公開中。

https://www.jlma.or.jp/sp/lighting_action_2030/contest/index.htm