インテル「従来のプロダクトベースとは大きく異なる方向へ」テクノロジー イネーブラー企業へ舵を切る intel の戦略

いま、パソコンやスマホ・タブレットなどのモバイルツール、ゲーム、産業用機械、そして需要が増える電気自動車というプロダクト群のなかで、半導体は欠かせない部品にあるなか、世界的な半導体不足の危機に陥っている。

そんななか、半導体最大手のインテル(Intel)は、「従来のプロダクト・ベースとは大きく異なる方向」へ舵を切り始めた―――。

インテルは8月1日、東京・丸の内のインテル本社で、鈴木国正 代表取締役社長と、同社マーケティング本部 上野晶子 本部長が登壇。今後のビジョンなどを伝えた。

インテルはテクノロジー・イネーブラー企業へ

鈴木国正 代表は、「インテルが『何を持っているか』ではなく、顧客が『何を必要としているか』、インテルが持つテクノロジーが、顧客の課題解決のためにどう役立つかというアプローチで、顧客にとって中長期的な価値創造につながるビジネスを創出していく」と言及。

インテルが手がける価値創造は、(1)DX(デジタルトランスフォーメーション)による環境変化、DcX(データセントリック・トランスフォーメーション)による新規ビジネス、人材不足の解消といった顧客的要素、(2)グローバル市場の不確実性、地政学的リスク、環境問題対策などのマクロ的要素、(3)半導体からソリューションへ、素材・製造コスト高、デバイスやテクノロジーの開発といった半導体業界的要素の3つのエリアを、インテルが担っていくとも伝えた。

そして鈴木代表が強調したのが、「インテルの中立性」。

インテルは、あらゆる業種・業態とのネットワークで中立的なポジションをキープし、新たなサービスや機会を創出し、パートナー同士がつながり、社会に実装していく取り組みを支援していくという。

また印象的なワードが、テクノロジー・イネーブラー企業というインテルのポジション。

インテルは、パートナーにとってテクノロジー・イネーブラー企業、つまりコア技術などをもって新たな社会システムを構築する上で不可欠な企業であり続けると明言した。

シンプルグレード表記、楽しく選ぶ自由

次にインテル 上野晶子 マーケティング本部長は、鈴木代表のビジョンに向けたさらに具体的な戦略について説明。大きく、企業向け・教育分野・個人向けについて変革・戦略プランを伝えた。

まず注目は個人向け。6月に発表した インテル製CPU グレード設定の更新だ。

これまでインテル製CPU は、Core i9、i7、i5、i3 などとの「Intel Core i シリーズ」がある。この「i」で示すグレードをやめ、新しいシンプルなグレード名に更新する。

具体的には、開発コード名「Meteor Lake」以降の製品を、「Intel Core Ultra」と表記し、3/5/7/9などとバージョンを示していく。

また、その前世代の Raptor Lake 系CPUなどは「Intel Core」と表記し、2グレード+バージョンでシンプルに提供していくという。

さらに、「やってみたいことがあるのに一歩を踏み出せない」「必要なPCの選び方がわからない」「CPUってどう違うの?」「誰にどこで相談できるの」といった個人ユーザーの悩みに対し、インテルは、「自分のやりたいことを示す」「それをかなえてくれるデバイスと実際のやり方を教える」「シンプルに選ぶメソッド」「相談できる人と場所」といった必要なツールを楽しく選ぶ自由と知識を提供していくという。

いっぽう、未来を創るデジタル人材育成に向けたインテル・デジタルラボ構想や、企業の成長を支える DX/DcX 支援なども加速させていくというから、今後のインテルの“大化け”に注目だ。