緊急事態宣言が解除され、世の中が少しずつ動き始めるなか、全国の大学はこのコロナ禍でどう授業をすすめてきたか―――。
一部の大学では、オンライン授業の開始初日に学生がアクセスできず「授業に参加できない」といったケースが相次ぐなか、自動運転AIシステム(写真)や、ICT教育とAI人材育成でリードする埼玉工業大学は、教員と学生がひとつのチームになって全学部オンライン授業を無難にスタートさせた。
工学部(機械工学・生命環境化学・情報システム学科の3学科7専攻)と、人間社会学部(情報社会学・心理学科の2学科4専攻)の埼玉工業大学は、まず特設サイト(https://sites.google.com/sit.ac.jp/online/)を設けて遠隔授業サポート。
学生と教員が事前に必要な情報を共有し、遠隔授業の各種ツール入手や、ネット環境やミーティングアプリ Zoom などの扱い方をチェック。教員が用意した実践マニュアルをもとに、学生たちは本番授業に挑んだ。
またコロナウイルス感染対策の一環で、学生が校内に入れないことから、販売店と大学が連携し、履修登録科目の教科書などを各学生の自宅に個別に送付した。
全学生2443人が初日から遠隔授業、9割381科目で同時双方型配信を実現
自動運転AIシステムの開発や、ICT教育の実践、AI人材育成にむけたカリキュラム構成などで注目を集める埼玉工業大学は、同大学を運営する学校法人智香寺学園 松川聖業理事長をはじめとする大学運営側のビジョンのもと、確かな遠隔授業を実現。
全学生対象最初の授業で「仏教精神I」(一般共通科目)は、約300人の学生が履修登録し、通信エラーなどなくクリアなオンライン授業を実施できたことを確認した。
また、ほかの授業でも教員・学生ともオンライン授業に手応えを感じている。これまでオンライン授業を重ね、授業の出席率が高く、教員の講義に集中できる、学生側から質問や意見も多く出るようになり、課題をみつける機会が増えたという。
同大学は、新型コロナウイルス感染防止と学生の安全・健康を配慮し、2020年度前期授業(5月14日~8月7日)をオンライン授業で遠隔実施する。
――― 国内初のAI専攻を工学部情報システム学科に設置し、自動運転AIシステムなどの生きた教材とともにICT教育・AI人材育成をリードする埼玉工業大学。
同大学は今後、遠隔授業導入にあわせ、カリキュラムを一部改編。実験・実習・製図などの授業は、夏季(9月1~30日)に集中講義を開催する。
<埼玉工業大学>
https://www.sit.ac.jp/