三井物産の脱炭素 可視化ソリューション e-dash/LCA Plus/Earth hacks のトップに聞く「環境と調和する社会をつくるアクションとトレンド」

金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、食料、流通事業、ウェルネス事業、ICT事業、コーポレートディベロップメントの各分野で、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力などを活かし、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など、各種事業を多角的に展開している総合商社――― 三井物産。

三井物産はいま、温室効果ガスの削減や気候変動の緩和と適応に貢献する事業の推進に努めることを掲げ、環境・クリーンテック分野の技術革新を事業機会とすることを戦略上の重点分野のひとつと位置づけ、この分野への投資機会の追求・拡充に取り組んでいる。

「環境と調和する社会をつくる」をミッションに掲げる三井物産は、多種多様な脱炭素ソリューションを開発・提供中。なかでも、脱炭素社会実現のために正確な算出と可視化が急務であり、ここに新たなビジネスの機会があることから、脱炭素の可視化領域に注力。

総合商社としての知見を活かし、企業・製品・生活者の「3つの視点」を軸とし、単に可視化するだけなく、CO2排出量・削減量に向けた幅広いニーズに対応することが可能なプラットフォーム「e-dash」「LCA Plus」「Earth hacks」を展開している。

そんな三井物産が立ち上げたソリューションビジネス「e-dash」「LCA Plus」「Earth hacks」の取り組みや、グループ企業が取り組む脱炭素関連ソリューションを一元的に伝える「Green & Circular」についての最新トレンドを紹介すべく、第2回 脱炭素経営EXPO [春] にブースを出展。

そこで今回、「3つの視点」で幅広いニーズに応える可視化プラットフォーム「e-dash」「LCA Plus」「Earth hacks」に注目し、3つのソリューションを手がけるキーマンに、最新動向や注目ポイントを聞いた。

企業視点「e-dash」 CO2排出量の可視化から削減までをトータルにサポート

https://e-dash.io/

「e-dash」は、CO2排出量の可視化から削減までをトータルにサポートするサービスプラットフォーム。請求書をスキャンしアップロードだけで、月々の電力やガスなどの使用量とコストやそれに関連するCO2排出量を可視化してくれるとあり、「幅広い業種の企業が導入し、取引先にも紹介しやすいサービスとして2023年2月時点で提携金融機関が100+行庫を達成している」とe-dash 山崎冬馬 代表取締役社長はいう。

「エネルギー項目ごとの使用量やコストをタブの切り替えでひと目で確認でき、CO2排出量まで自動的に算出することから、管理の手間を省きながら実績の把握が可能になります。また、CO2排出量削減に向けた目標設定から進捗管理、効果的な対策までひとつのプラットフォームですべて実現できるとあり、すべての事業者にマッチするサービスプラットフォームとして、多くの問い合わせをいただいています」

「積極的な情報開示がますます求められる流れのなかで、年に一度の集計で結果を知るよりも細かくPDCAを回すモニタリング体制を叶えます。対外公表や各種報告、計画策定にすぐデータを活用できる状態を実現することで、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速できます」

「さらに、CO2削減に向けた目標設定から具体的な対策まで、e-dashならひとつのプラットフォームで全て実現でき、可視化に留まらない効果的な削減へのアクションをサポートします。しかも導入コストは、拠点数に応じて月額1万円からスタートできますので、気軽に相談してほしいと思います」(e-dash 山崎冬馬 代表)

―――e-dash 山崎冬馬 代表取締役社長は2007年に三井物産入社。おもに発電プロジェクト等の新規インフラ案件開発や M&A に従事。2015~2020年にシリコンバレーに駐在し、クリーンテック分野のスタートアップへの投資と共同事業開発を担当。帰国後「e-dash」を立上げ、現職。

製品視点「LCA Plus」 製品単位のCO2排出量をワンストップで可視化

https://lp.lcaplus-pf.com/

「LCA Plus」は、サプライチェーン上で「製品単位」のCO2排出量をワンストップで可視化する国内初のプラットフォーム。製品単位のCO2排出量把握で、今まで見えてこなかった製品・部材の1つ1つの環境影響の大きい項目を明確化し、削減に必要なアクションの検討が見える化できる。

また、国内唯一のカーボンフットプリント認証機関である SuMPO と共同開発し、標準規格を提供するISO(国際標準化機構)が定めた国際規格 ISO14040・14044 に基づいた算定品質を実現できる。

「製品の一生を把握することが、カーボンニュートラル実現に向けた、重要な一歩です」と語るのは、三井物産 鉄鋼製品本部 次世代事業開発部 LCA Plus事業推進室 長谷川明彦 シニアプロジェクトマネージャー。

「製造業様において、競争力のあるカーボンニュートラル実現に向けて、企業単位で温室効果ガス排出量を算出する「Scope1・2・3」のみでなく、製品の調達・購買、生産、物流、使用、リサイクルまでを含めた製品・サービス単位での排出量を把握する『製品LCA』のニーズが増加しています。

一方で、各企業の担当者にとって有効なツールやノウハウが少ないといった課題もあります。こうした課題を解消すべく、「LCA Plus」は、LCA算定を行うことで製品単位の温室効果ガス排出量を把握でき、今まで見えてこなかった製品・部材1つ1つのホットスポット(環境影響の大きい項目)が、バリューチェーン上のプロセス毎に見える化できます。

これにより、環境に配慮した製品やサービスの検討材料となり、自社の削減努力のアピールができるなど、サプライチェーン全体にかかるすべての企業にとって、削減に必要なアクションを検討しやすくなります。

また、算定や分析に加え、保存や管理に役立つシステム機能を入会済のユーザー様と作り上げ、算定のし易さを徹底追求しつつ、算定ノウハウはサービスセンターというコンサル部隊が支援します。更には、算定結果に「お墨付き」をお出しするISOに基づいた検証サービスも2023年7月より開始いたします。

われわれ LCA Plus では、脱炭素社会実現に向けてさまざまな企業を巻き込み、排出量算定・削減アクションへのきっかけを後押しすることで、サステナブルな社会を実現していきます」(三井物産 長谷川明彦氏)

―――三井物産 鉄鋼製品本部 次世代事業開発部 LCA Plus事業推進チーム 長谷川明彦 シニアプロジェクトマネージャーは、2020年三井物産にキャリア入社。前職では事業開発やコンサルティングを担当し、現在は LCA Plus のプロジェクトマネージャーに。

生活者視点「Earth hacks」 CO2削減率が高い商品やサービスがひと目で分かる

https://earthhacks.jp/

生活者の脱炭素アクションを促進するプラットフォーム「Earth hacks」は、Z世代をはじめとする脱炭素に関心がある人たちや、まだよく知らないという人にも、脱炭素に向けた活動を身近に感じてもらえるよう、自分の生活にも取り入れたいと思えるライフスタイルやエシカルな商品の情報を提供し、生活者の声をもとに、脱炭素関連商品・サービスや事業の開発を目指す共創型プラットフォームで、博報堂と三井物産が共同で推進。

「Earth hacks の特長は、CO2e排出量を従来の製品と比較し、削減率を出すというユニークなアプローチで、商品に新しく価値付けを行ない、企業主体ではなく、生活者が楽しみながら脱炭素に貢献できる仕組みを提供するという新しい取り組みです」と話すのは、三井物産 エネルギーソリューション本部 New Downstream 事業新事業開発室 関根澄人氏。関根氏は博報堂の社員で、2020年4月から三井物産に出向しているキーマンだ。

「SDGsの機運の高まりなどで、さまざまな商品の生産工程や、サービスにおいて排出される CO2 の量を目にすることが増えてきました。 そのいっぽうで、その排出量が多いのか少ないのか、どれくらい環境に良いのかをひとつの数字だけから判断することは難しいといわれています。

そこでわたしたちは、従来の素材や手法で作られた製品と Earth hacks で紹介している商品の CO2e を比較して、どれくらいのCO2排出量を削減しているかという数値をパーセンテージで可視化すれば、誰でもわかりやすい新しい指標になると考えました。

そして Doconomy社とタッグを組んで、CO2e排出量可視化ツールを活用し、商品やサービスの環境価値が新しい選択基準となるように、『CO2e削減率』を『デカボスコア』として算出。

このデカボ スコアによって、従来に比べて排出 CO2相当量が少ない商品やサービスであることがひと目で分かるようになりました。日本が2030年までに排出CO2相当量を46%削減することを目標にしているいま、日々の生活の中で、少しでも排出CO2相当量が少ない商品を選ぶことで、その目標に近づいていくことができます。生活者が商品やサービスを選択するときのひとつの指標として、デカボスコアを社会に広げていきます」(三井物産 関根澄人氏)

―――三井物産 エネルギーソリューション本部 New Downstream 事業新事業開発室 関根澄人氏は学生時代、生物多様性や地球温暖化など環境問題を伝えていくことを仕事にしたいと思い、博報堂に入社。さまざまな企業のブランディングなどを担当し、博報堂従業員組合の委員長を経て、2020年よりミライの事業室ビジネスデザインディレクター。2020年4月から三井物産に出向中。

脱炭素ソリューションサイト 「Green & Circular」をチェック

パートナーとの協業や産業を超えた連携、そして関連するイノベーションへの取組みを通して。多種多様な脱炭素ソリューションを開発・提供している三井物産。

同社は、排出量削減の具体的なアクションを検討する顧客へ向けて、脱炭素ソリューションサイト「Green & Circular」を2022年6月に始動し、可視化プラットフォームをはじめ、再生可能エネルギー発電や水素・EVの実用化など、三井物産が展開する31ソリューションを紹介しているほか、脱炭素の新潮流や世界の最新動向など広く活用できるサイトとして日々アップデートしているから、気になる人はチェックしてみて。

◆Green & Circular
https://www.mitsui.com/solution/