人手不足が深刻化し、日本企業では生産性向上の切り札として、AI・DXの導入が進められているなか、AI・DXを導入している企業の 78.5%が「業務負担は減っていない」と痛感し、導入の広がりと現場の実感との間に大きな隔たりがあることがわかった。
調査したのは、ゴウリカマーケティング(東京都渋谷区)。
一定の専門性を要しながら手順や進め方が定型化しやすい業務=専門的定型業務と定義
「人に寄りそう合理化で、世界をもっと自由に、もっとゆたかに」をビジョンに、日本のビジネス界の生産性向上に取り組むゴウリカマーケティングは、企業規模1,000人以上の国内企業に務めるビジネスパーソン1,020人(製造/物流/卸売/小売/金融)を対象に、1月下旬「業務時間の使い方と生産性に関する調査」を実施。
本調査では、業務内容を「コア業務」「専門的定型業務」「定型業務」の3つに分類し、業務実態を明らかにしていった。
◆コア業務:企業や組織の価値創出に直結する、本来注力すべき業務。高度な判断や創造性、戦略性が求められ、成果が事業成長や競争力に直接影響する業務を指す。
具体例:企画立案・新規施策検討、施策方針など重要な意思決定、顧客との商談 など
◆専門的定型業務:一定の知識や経験、専門性を必要とする一方で、業務の進め方や手順がある程度定型化されている業務。判断や確認を伴うものの、繰り返し発生しやすい業務を指す。
具体例:承認・決裁プロセスに伴う確認作業、顧客・取引先との細かい確認作業・進捗管理、複数システム間のデータ集計・統合、社内調整・根回し(会議調整、関係部署への確認など)、フォーマットに沿った報告書・レポート作成、資料の体裁調整・フォーマット調整など
◎ 販促業務であれば、印刷・販促に関する深く広い知識
◎ 人事業務であれば、採用に関する深く広い知識
◎ DX業務であれば、プログラミングやシステムに関する深く広い知識
◎ 経理業務であれば、会計に関する深く広い知識
―――この専門的定型業務とその周辺についての、最新調査結果が興味深い。
就業時間の51.2%がノンコア業務
大企業のビジネスパーソンは、就業時間の約半分をノンコア業務に費やしていて、経営層の約8割がこの状況を課題と認識しているものの、改善は進んでいない。
約8割が AI・DX での業務改善を期待
しかし負担軽減は実感できていない
AI・DXツールによる業務改善への期待は8割近くに達しているが、実際に導入している企業の約8割が、業務負担の軽減を実感できていない。
人材の活用不全が常態化
約6割が、専門スキルや経験を十分に発揮できていないと感じていて、人的資本の活用不全が常態化している。
外部委託は有効と認識しつつ実行は約2割にとどまる
約6割が外部専門チームへの業務切り出しを有効と捉えているいっぽうで、実際に取り組んでいる企業は約2割にとどまっている。
―――これらの結果から、AI・DX の導入だけでは専門的定型業務の負荷は解消されず、業務の担い手や構造そのものを見直す取り組みが求められていることがわかった。
こうした最新情報を得て、劉曄 執行役員CSO は、「労働生産性の向上には、一人ひとりのスキルの育成・適正配置に加え、マインド面の向上も必要。「人に寄りそう合理化」が今後ますます重要になると確信している」とも伝えた。
人がそれぞれの力を十分に発揮するには「構造」を改める必要がある
「今回の調査で見えてきたのは、AI や DX に対する「期待感」と「導入後の現場の実感」との間にある大きなギャップです。
経営層は「AI・DXで業務は変わるはず」と考えています。
しかし、現場の一般社員の多くは、業務が軽減されたと感じていません。
同じ会社のなかで、見えている景色がまるで違うのです。
この断絶の最大の原因として浮かび上がったのが「専門的定型業務」です。
専門的定型業務は、手順どおりに進めることはできるものの、専門知識や経験値を要するがゆえに誰にでもすぐにこなせるものではありません。
にもかかわらず、専門業務もしくは定型業務の延長上に位置づけているせいで、重すぎる“ついでの業務”となって現場を圧迫してしまっています。
それなら「専門的定型業務をアウトソーシングしよう」と多くの企業が考えます。
しかし専門的定型業務は、企業の戦略や作法、人間関係といった社内事情が絡み合っていることから、そこだけを単純に切り出すのは困難です。
ならばと、冒頭のように AI や DX の導入だけで解決しようとしても、やはり経験的な背景や物理的な事情をクリアするのが難しい。
結果、過重なノンコア業務として現場社員を圧迫し続けることになります。
では、どう解決すればいいのか。
最も有効なのは、外部の専門人材を社内に常駐させ、内製の一部として機能させるアプローチです。
AI や DX だけに頼るのではなく、人と仕組みを掛け合わせて、業務構造そのものを再設計していく。
それが「専門的定型業務の軽視」という業務のボトルネックにメスを入れ、真に生産性を高めていくための確かな道筋だと私たちは考えています。
AI や DX は、あくまで手段です。
適切に使えば効果を享受できますが、過剰な期待をすれば、そのしわ寄せは人に返ってきます。
手段を手段として生かしつつ、人がそれぞれの力を十分に発揮するには「構造」を改める必要がある。
生産性を高める鍵はじつはそこにあります。
本調査が、そんな生産性のあり方を問いなおす手がかりとなれば幸いです」
◆ゴウリカマーケティング 岡本賢祐 代表取締役
https://gourica.co.jp/
