
ここは EXPO 2025 大阪・関西万博 BLUE OCEAN DOME(ZERI JAPAN)でのワンシーン。
みんなハッピーな雰囲気だけど、実はステージに立つこの人たちの話を聞いていると、現実は相当アンハッピーで、日本人の誰もが奴隷労働(強制労働や人身売買)に知らないうちに加担していることを、いま一度、認識しなければならないことを痛感させられた。
奴隷労働 と IUU漁業 という危機的現実

大阪・関西万博 BLUE OCEAN DOME(ZERI JAPAN)で「選んで守るサカナの未来 Week」と題したセッションで、シーフードレガシー花岡和佳男 代表取締役社長と、グローバルシーフードアライアンス 芝井幸太 日本マーケット担当とのトーク内容が衝撃だ。
事実、日本の消費している魚の半分にあたる輸入水産物のうち、その36%(金額ベース 3550億円)が人権侵害・違法労働などに「IUU漁業」でとれた魚という調査結果が出ていて、それを知らず知らず、日本人は毎日食べている。
日本人も、奴隷労働(強制労働や人身売買)に知らないうちに加担している―――これが不幸な現実だ。
世界が報告している事実がショッキング

IUU漁業=違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported, Unregulated)漁業は、無許可操業、無報告、虚偽報告された操業、無国籍の漁船、 地域漁業管理機関非加盟国の漁船による違反操業など、各国の国内法や国際的な操業ルールに従わない漁業活動のこと。
海洋の資源を枯渇させ、生態系を破壊する違法・無報告・無規制漁業は、人権侵害・違法労働といった極めて重大な問題が潜んでいる。世界が報告している事実がショッキングだ。
パスポート没収・暴行、死んだ遺体は海に投げ捨て
たとえば、遠洋マグロ漁船などの外国人乗組員(多くはインドネシアなどの東南アジアからの移民労働者)が、船の上で長時間労働を強いられ、まともな食事も休憩も与えられず、途中で死亡してしまっても海に遺体を捨てられているという事実も発覚している。
パスポートを取り上げ暴行するといった行為も横行し、たとえばタイの養殖エビの加工場では児童労働が高い頻度で発覚し、就学機会が失われているだけではなく、火器の取り扱いなどの危険な作業や長時間労働を強いられているという報告もある。
見て見ぬふりして流す 悲しい現実

事実、日本の漁業は衰退する一途をたどりながら、魚を食す人口が増え、世界の漁業は急激に増加している。
日本の漁獲量が減少すると、日本国内の市場価値は上がり、価格が上がる。
食べる側の消費者はいつでも安い食材を手に入れたいことから、輸入水産物に手が伸びる。
売る側のスーパーマーケットなどの流通サイドも、毎日同じサイズや同じ見た目の魚を並べて、できるかぎり安値で売ろうとすると仕入れ値の安い魚を並べるようになる。
そこに、IUU漁業=違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported, Unregulated)漁業による乱獲や捕りすぎを、見て見ぬふりして流しているという悲しい現実がある。
いま起きている現実を共有 みんなでアクション

大阪・関西万博 BLUE OCEAN DOME(ZERI JAPAN)「選んで守るサカナの未来 Week」(主催 ZERI JAPAN/共催 シーフードレガシー)でプレゼンターやモデレーターを努めたシーフードレガシー花岡和佳男 代表取締役社長は、こうしたIUU漁業=違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported, Unregulated)漁業が撲滅できない、むしろ闇の中で増えているかもしれないという現実について、こう教えてくれた。
「問題のひとつは乱獲・捕りすぎで水産ビジネスモデルが崩壊して、世界的にコストカットを求められている。
もうひとつは、こうした世界動向のなかでIUU漁業=違法・無報告・無規制漁業が横行していること。
そして闇のIUU漁業が横行すると、世界的に漁獲量の正確なデータが把握できないから、世界的にどう規制していくべきかも定められない。
こうした悪循環で、さらにIUU漁業が闇で拡大し人権問題や奴隷労働が増えて、そこでとれた魚をわれわれ日本人も知らず知らず食している。
いま起きている現実をみんなで共有して、みんなでアクションを起こそうという想いを込めて、「選んで守るサカナの未来 Week」を開催しています」(花岡代表)
―――このタイトルにある「選んで守る」の選択肢が、「サステナブル・シーフード」の証、MSC「海のエコラベル」や ASCラベル だ。
スーパーマーケットの鮮魚コーナーなどでみかける この MSC「海のエコラベル」や ASCラベル とは? また次回、くわしくみていきたい。
