1923(大正12)年9月1日に関東大震災。1959(昭和34)年9月26日には伊勢湾台風―――。
伊勢湾台風では、全半壊・流失家屋15万3,893戸、浸水家屋36万3,611戸、死者4,700人、行方不明401人、傷者3万8,917人と、戦後最大の被害を被った。
これを契機に日本は、地震や風水害等に対する心構えなどを再認識するため、毎年9月1日を、防災の日としている。
そこでいま、あらためて防災備蓄の要を担う素材が注目されている―――ロングライフ紙パックだ。
このロングライフ紙パック。あまり聞き慣れない言葉のように聞こえるけど、実は誰もが知ってる、あの紙パック。
牛乳や豆乳、野菜ジュースなどでおなじみの紙パックのことを、業界ではロングライフ紙パックと呼ぶ。
なぜこのロングライフ紙パックが防災備蓄に適しているか
このロングライフ紙パックは、常温で長期保存できる点が防災備蓄に適し、国内の自治体や各種団体、企業などが注目している。
ロングライフ紙パックが常温長期保存できる理由は、その素材と構成。紙パックへの充填技術とアルミ箔を用いたつくりで、中身の食品を劣化させる酸素の透過を防ぐとともに、光を遮断することで、食品(中身)の品質を長期間保存できる。
また、常温で長期保存できることから、中身の食品に保存料を含有する必要がなくなる。ここも大きい。
料理研究家で防災士の島本美由紀氏は、大規模災害に備え、人数分×7日分の飲食料を備蓄することをすすめる。
そのうえで、ポイントは「非常食と日常食をバランスよくそろえること」という。
「非常食とは、賞味期限が3~5年と比較的長いレトルトのおかゆや乾パンなど。日常食は普段から食べ慣れている冷凍食品や缶詰、常温保存ができる紙パック飲料など。賞味期限は半年~2年程度」
「そこでおすすめは、ロングライフ紙パックに入った飲食料品。野菜ジュース、ビタミンの入ったジュース、豆乳など。一度は味わったことがあるものたち」
こうした日常食は、普段から家族がよく食べる・飲むものをストックするという点でメリットがあり、災害時で心が不安なときでも「いつもの味」でほっとするアイテムになるという。
島本氏はまた、「常温で半年~2年ほど保存できるものが多いことから、ローリングストックにもぴったり」ともいう。
ロングライフ紙パックのもうひとつの強み、環境性と収納性
ロングライフ紙パックのもうひとつの強みが、収納性と環境性。
紙容器だから、スクエアなかたちを自在に形成できるうえに、収納しやすく、積み重ねてもかさばらないのがいい。限られた収納スペースもより有効に活用できる。
また使い終わった容器は折りたたんでおけば、リサイクルに出すまでの間もコンパクトにまとめ置きできる。
そして最後は、リサイクル性。ロングライフ紙パックに使用されている紙は、リサイクルされてトイレットペーパーなどの原料になる。
ロングライフ紙パックを開発・製造する日本テトラパックでは、持続可能で適切に森林の管理や生産を行っていることを示す、FSC CoC 認証を取得している。
―――缶詰やペットボトルからから、ロングライフ紙パックの容器に切り替えている世界のトレンドを、いち消費者として実感しながら商品を選ぶのも、SDGs目標達成にむけたアクションとして、ありかもしれない。