世界最大級の石油埋蔵量・生産量・輸出量を誇るエネルギー大国 サウジアラビア王国は、長い間、歌や舞踏、楽器演奏、芸能など芸術活動や文化事業が制約され、サウジアラビア国民への外国文化の紹介も限定的だった。
そんなサウジアラビアが、2016年からの経済改革構想「ビジョン2030」を打ち出し、大きく方向転換し、文化・芸術・交流活動もここへきて、躍動し始めた。
その好例が、2019年に文化省が結成したサウジアラビア国立管弦楽団「Marvels of Saudi Orchestra」(マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ)のワールドツアー。
5年という短い歳月で、ワールドツアーへと船出し、フランス・パリ、メキシコ・シティー、アメリカ・ニューヨーク、イギリス・ロンドンを経て、アジア初公演として、日本に初来日。
日本のロック界をけん引してきた布袋寅泰もステージをともに、日本・サウジアラビアの新たな国際交流が、Marvels of Saudi Orchestra 東京公演(11月22日 東京オペラシティ コンサートホール)で開花した。
いまだかつてない楽曲構成
日本・サウジの観客たちを魅了
サウジアラビア国立オーケストラと合唱団が世界の有力なオーケストラと共演する「Marvels of Saudi Orchestra」東京公演は、サウジアラビア文化省 11の専門委員会のひとつであるサウジ音楽委員会が主催し、文化大臣であるバドル・ビン・アブドゥラー・ビン・ファルハーン王子殿下の後援のもとで開催され、卓越した音楽芸術と文化的コラボレーションが実現。
公演では、サウジ国立オーケストラ&合唱団が、日本を代表する雅楽オーケストラ(宮内庁式部職楽部)、東京音楽大学オーケストラアカデミーと共演し、いまだかつてない楽曲構成でダイナミックな演奏を披露。
また、日本を代表するギタリスト 布袋寅泰が特別出演し、日本・サウジの観客たちを魅了した。
両国の歴史 文化 現代性 革新性を表現
布袋寅泰しかいない
サウジアラビア音楽委員会 ポール・パシフィコ(Paul Pacifico)CEO と 布袋寅泰は、このスペシャルなセッションについて、こんな想いを語ってくれた。
「このコンサートに布袋さんが参加してくれることを感謝しています。出会いは10年前、イギリスでした。
そのときも、布袋さんの芸術性や音楽性、感性すべてに感銘を受けました。
そこで、日本とサウジアラビアの交流を具現化したこのコンサートには、両国の歴史や文化、現代性、革新性などを表現するときに、布袋さんしかいない、と」(Paul Pacifico CEO)
ぼくがつくった音楽が海を超えて
表情・感情豊かに返ってきた
「まず Paul Pacifico CEO からオファーをいただいたときに、とても驚きましたし、光栄でうれしく思いました。
やはり音楽を通じて異なる国の文化や歴史をもった人々の交流の橋渡しとして、ミュージシャンとして参加できることは、冥利に尽きます。
また、初めていっしょに奏でるサウジアラビアのミュージシャン、想像以上に表現豊かな方々で、ぼくも大きな刺激をいただきました。誘っていただいたことに心から感謝しています。
ぼくがつくった音楽がこうやって海を超えて、サウジアラビアの風をまとって、表情・感情豊かにぼくのところに返ってきたということがなによりも感動的でした。
それに応えられるように、いつもと違ったギタープレイを今回のコンサートで披露できたと思います」(布袋寅泰)
尊敬する日本のパートナーとのコラボ
音楽の持つ変革的な力を改めて強調
「Marvels of Saudi Orchestra は、音楽の才能と創造性を称える素晴らしい取り組みでした。
本日の公演はその締めくくりにふさわしいもので、サウジ国立オーケストラおよび合唱団と、わたしたちの尊敬する日本のパートナーとのコラボレーションの力を見事に示しました。
この公演は、忘れがたい体験を提供するとともに、音楽の持つ変革的な力を改めて強調しました」(Paul Pacifico CEO)
――― サウジアラビア国立オーケストラ Marvels of Saudi Orchestra は、世界クラスの音楽人材の育成、文化的表現の称賛、そして芸術的成果の国際的舞台に向けて、さらに取り組みを加速させていくという。
サウジ文化省
サウジアラビア文化省は、サウジの文化経済を発展させ、市民、居住者、訪問者の日常生活を豊かにすることに取り組む部門。
文化省は、11の専門委員会を監督し、伝統を守りつつ未来を見据えた活気ある文化の支援と保存をめざしている。
サウジ音楽委員会
サウジ音楽委員会は、2020年に設立され、王国の音楽セクターの発展を監督。
同委員会は、音楽教育への普遍的なアクセス、音楽人材の強化、そして地元経済への貢献をめざし、音楽分野の成長を支援。
音楽産業の経済的寄与を高めるため、雇用創出、セクター規制の整備、そして世界クラスのインフラ構築に取り組んでいる。