F1の実績でも広く知られる自動車メーカー マクラーレン が同社初のハイブリッドスーパーカーをリリースした。
新設計の3リットルV6ガソリンツインターボエンジンと電動モータを組み、縦置きミッドシップで後輪を駆動させ、0→100km/hは3秒。最高速度は330km/h。
その名も「アルトゥーラ」(McLaren Artura)
まずはアルトゥーラのプロポーション。骨格には、マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)を同社モデルで初採用し、これまで以上にフレキシブルなシャシーデザインを実現。
このMCLA採用の利点がかたちになって現れているのが、リアのデザイン。
エギゾースト(マフラー)が従来車よりも高い位置にセットでき、さらに最適化されたエアロダイナミクスを実現させている。
「エギゾーストをリロケーションできたのも、パッケージングの設計自由度が上がったおかげ」とも。
マクラーレンのデザイン理念を凝縮したプロポーション
アルトゥーラの軽量ボディには、カーボン・ファイバーとスーパーフォームド(成形)アルミニウムを採用。車両重量はクラス最軽量の1498kg。1.5トンをきる軽さに。
1枚のパネルをスーパーフォーミングで成形する設計で、アルトゥーラのフォルムは、空力性能と冷却のために気流を整え、パフォーマンスを最大化するよう造形。
「すべてのものに理由がある」というマクラーレンのデザイン理念がそのまま具現化されたプロポーションに。
アルトゥーラの心臓部分は、「M630」というコードの新たな3リットルV6ガソリンツインターボエンジン。
バンク角120度で組み、最高出力はなんと585PS。リッター200PSに迫り、最大トルクは585Nmを発揮する。
ドライサンプ式でアルミニウム製のため、エンジンは軽量かつコンパクトで、わずか160kgとマクラーレンV8ユニットより50kgも軽く、そして大幅に短くなりパッケージングの効率性が高まったという。
運転席に座ると、まさに「最新鋭戦闘機のコクピット」
いっぽう、この新型V6エンジン「M630」と組み合わさる電動モータが、アキシャル・フラックスEモーター。トランスミッションのベルハウジング内に格納されている。
このモータアシストは、最高95PS、225Nmを発生。1キロあたりの電力密度はマクラーレンP1のシステムを33%も上回る。
さらに、このEモータと、5個のリチウムイオン・モジュールからなるバッテリーパックで、モータのみで30km走ることができる。モータのみでの最高速度は130km/h。
室内をみていこう。ドライバーズシートに座ると、まさに「最新鋭の戦闘機を操縦している」というコクピットの雰囲気。
着座すると、走行モードのセレクターはインストゥルメント・ビナクルに移動したことがわかる。
その代わりにビナクルがステアリングコラムにマウントされ、ステアリング・ホイールの動きといっしょに調節でき、ステアリングから手を離さずに走行モードを調節できるようになった。
モード切り替えひとつで過激さとジェントルさを両立した走りへ
パワートレインの設定は4モードから選択可能。Eモードでは電気のみを使い、前述のとおりモータだけで30km走行可能。
過激さがアップしていく Sport と Track モードでは、低速域のレスポンスと加速のために、電力をよりアグレッシブにプラス。
マクラーレンらしい過激さとジェントルさを両立した走り、いや「さらに進化したマクラーレンの走り」が、モードひとつで体感できる。
このほか、マクラーレン初採用の電子制御ディファレンシャル(Eデフ)や、インフォテインメント・インターネット接続システム(MIS II)、ストップ&ゴー機能付きインテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロール、レーンデパーチャー・ウォーニング、ハイビーム・アシスト、ロードサイン・レコグニションなど、現代のクルマに装備される機能ももちろんついている。
―――最新で最良、過激さとジェントルさを兼ね備えたマクラーレンHVモデル「アルトゥーラ」は、2965万円から。