PwC財団が人間拡張技術で農福連携×労働力減少×地方創生にむけた助成を加速「テクノロジーで未来を創る専門財団」へ

「経済成長と地球環境保全が両立し、サステナブルなエコシステムの構築を通じて、持続的に社会が発展する世界の創出」を理念とする公益財団法人 PwC 財団(東京都千代田区/安井正樹代表理事)はいま、革新的テクノロジーを活用し、新しい価値観の創出や既存の固定観念を超えた新しいビジネスモデルをつくり、さらにそれらを社会に実装していくプラットフォームを構築中。

この事業のひとつとして、人間拡張技術を使い、すべての人が活躍できる社会の実現や人手不足時代を乗り越えるための課題解決に取り組み、これまでの助成事業の成功を受けて「テクノロジーで未来を創る専門財団」としての活動を本格展開していく。

これまで農業・医療・防災などの領域に助成、理事と事務局長が報告

6月の説明会には、PwC財団 安井正樹 代表理事や日向昭人 事務局長らが登壇。

PwC財団がこれまで取り組んできた助成事業について、次のような領域を挙げた。

◆農業領域―――人間拡張技術を活用した農福連携。人間拡張技術の活用により、障がい者の身体的制限・高齢者の年齢にともない発症する制限を補綴・解消し、誰もが自己実現が可能な社会を創造する。

◆医療領域―――AI 技術の活用により、地方における深刻な医療資源の不足や医療現場における資源配分の非効率などの問題を解消し、誰もが健やかに生きることのできる社会をめざす。

◆防災領域―――センシングや AI 技術などを活用し、地域特有の災害発生モデルの構築により災害発生時の人的被害を軽減することで、より、個人の命や財産が守られ、環境(水域・森林・衛生環境など)が守られ、安全に安心して暮らせる社会をめざす。

今後は地球環境を健全化やインフラ・社会関係資本の見直しなど助成

またPwC財団 安井正樹 代表理事と日向昭人 事務局長は、今後着手していく助成事業について、次のような領域を挙げた。

◆環境領域1―――テクノロジーを活用して、大気汚染による健康被害や海洋汚染による生命への脅威、森林伐採や外来種などによる生物多様性の損失を食い止め、地球環境を健全化して未来の世代へ手渡す。

◆環境領域2―――テクノロジーを活用して、超高齢化・人口減少がもたらす日本の「都市」「街」への影響を、インフラ・ソーシャルキャピタルの観点から見直し、安心・安全に生活できる場への再構築を加速させる。

2020年度助成事業事例:H2L「一定の技術的実証に成功」

またPwC財団は、H2L社にむけて2020年度に助成した事業についても説明。

H2L社は、同事業で、遠隔地にいる障がい者や農業に参加したことのないユーザがスマートフォンアプリで農作業ロボットを操作し、農業参加できるシステムと、そのサービス「RaraaS」(Remote Agricultural Robot as a Service:ララース、遠隔農業ロボットサービス)を提供中。

ユーザは、スマートフォンアプリを経由して遠隔地の農作業ロボットのアームをリアルタイムに制御することで、ユーザはまるで農場にいるかのように収穫作業を体験できる。

遠隔地からリアルタイムで農業に参加できるサービスを提供することによって「都市一極集中型の社会構造」「地方の農業従事者数の減少と高齢化」「障がい者の社会参画機会の制限と低賃金」といった社会課題の解決をめざしていく。

今回のPwC財団による助成事業を通じ、人間拡張技術の活用による農福連携で、農業従事者の減少や地方創生といった社会課題を解決するための一定の技術的実証、実証内容の対外発信による社会的モメンタムの形成に成功。

ただし、単発の助成案件のみでは、PwC財団がめざす大きな社会変革ゴール「人間拡張技術等のテクノロジーの活用によって、農福連携×労働力減少×地方創生という複合的な社会課題が解決した社会を実現する」ことは困難と考え、今後複数の助成事業を同時並行的に推進していく必要性もあるという。

遠隔農業ロボットサービス事業助成に向けた今後の展開

さらにPwC財団は、遠隔農業ロボットサービス事業助成に向けた今後の展開について、こう説明する。

◆1 産官学を巻き込んだ継続実証事業および農福連携 × 産業DXエコシステム形成事業―――実証実験によって明らかになったステークホルダー(病院・自治体など)と連携したより高度な実証事業の展開。

◆2 健常者も含めた遠隔農業サービスパッケージ化による地方農業の担い手不足解消事業―――農福連携目線よりも、より分散型経済実現の方向に力点をおいた実証事業の展開。

◆3 遠隔操作ロボットによる高重量農作物の省人化技術実証事業―――2020年度助成事業において取り組みきれなかった、HW・ロボティクス側面により力点を置いた実証事業の展開。

◆4 2020年度助成事業の成果、および現時点のToC等の知見の社会還元事業―――この領域にチャレンジする事業者・自治体・病院などのモメンタム形成を目的とした外部向け講演会・シンポジウムの実施。

―――PwC財団はこうした今後の取り組みによって、今後5年で農福連携につながる人間拡張技術の社会実装をめざしていくという。

PwC財団はさらに幅広い助成事業に着手していくというから、今後の動きに注目だ。

◆公益財団法人PwC財団
https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/pwc-foundation.html