Aホールディングス PFASゼロ水 再生医療 亜臨界水処理など6領域事業を加速 PFAS濃縮物を低温亜臨界水処理 PFOS PFOA 99.8%以上低減 静岡市に15億円寄付し社会実装加速

PFASゼロ水、再生医療、亜臨界水処理などを主事業とし、ウォーターサーバで知られる Aホールディングス(本社:山梨県富士吉田市)とグループ会社の駿河GXテクノロジー(本社:静岡県静岡市)は、静岡市清水区 三保雨水ポンプ場での実証実験で、回収したPFAS濃縮物について、亜臨界水を用いた処理試験を実施。

約220度・60分、添加剤を用いた一部の試験条件において、処理後の分析試料中の PFOS・PFOA・PFHxS がいずれも分析装置の検出限界値 50ng/L未満を確認した。

PFAS対策では、水中から PFAS を取り除くだけでなく、回収した濃縮物をその後どのように処理するかも課題。

今回の試験は、この「除去の先」にある課題に対し、より低い温度条件での処理可能性を検証したもの。

永遠の化学物質 PFAS 有機フッ素化合物

PFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)は、水や油をはじく性質を持つ人工の有機フッ素化合物の総称で、炭素とフッ素が結合した人工化学物質のグループ。

1万種類以上が存在し、自然界で分解されにくいことから「永遠の化学物質」(Forever Chemicals)とも呼ばれている。

暫定目標値の 50ng/Lは、体重50kgの人が水を一生涯にわたって毎日2リットル飲用したとしても、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準をもとに、国が設定した基準値。

水道水に PFAS が含まれるのは、工場からの排水や、訓練などで使われた泡消火剤などが土壌に染み込み、それが地下水や河川などの水源に流れ込むため。

水から取り除いてもPFASは消えない 除去後が次の課題

水から PFAS を除去しても、PFAS そのものが消えるわけではなく、回収された濃縮物には PFAS が残る。

PFAS の除去後に残る濃縮物の処理には、焼却や化学分解など、さまざまなアプローチがある。

Aホールディングスグループ 駿河GXテクノロジーでは、焼却をともなわず、比較的低い温度条件で PFAS を処理できる可能性に着目し、高温・高圧の水を利用する「亜臨界水処理」を選択。

同社は、加圧浮上分離装置による PFAS の回収から、亜臨界水による分解処理までを一貫して行うとともに、処理後の生成物を新たな資源として活用する可能性も視野に入れ、研究開発と実証実験を進めていく。

PFOS 99.89%以上 PFOA 99.999%以上 低減実現

Aホールディングスグループ 駿河GXテクノロジーは、静岡市清水区の三保雨水ポンプ場で加圧浮上分離装置などを用いた PFAS 除去の実証を進めている。

これまでに、原水3,400ng/Lを、処理後5ng/Lまで低減し、99%の削減を確認している。

加圧浮上分離装置では、PFAS を泡状の濃縮物(フロス)として回収、今回の試験では、この工程で実際に回収したフロスを使用した。

処理前のフロスからは、PFOS 46,000ng/L、PFOA 66,000,000ng/L が確認された。

これを亜臨界水で処理した結果、一部の条件でPFOS、PFOA、PFHxS の3物質すべてが分析装置の検出限界値50ng/L未満に。

処理前後を単純比較すると、PFOSは 99.89%以上、PFOAは 99.999%以上低減していた。

(プラント画像はイメージ)

220度で処理 PFOS PFOA PFHxS が検出限界値未満に

PFAS は炭素とフッ素の結合が強く、分解には一般に300度以上の高温が必要とされてきた。

今回用いた亜臨界水は、水の臨界点(374度・22.1MPa)より低い温度で、加圧により液体の状態を保った高温の水。

本試験では容量2リットルの装置を使い、最高温度を約220度に抑えながら、添加剤で反応を補う方法を検証。

約220度で60分処理した結果、一部の条件で PFOS、PFOA、PFHxS の3物質がいずれも分析装置の検出限界値である50ng/L未満となった。

PFAS「除去」と「その後の処理」をひとつの流れへ

Aホールディングスグループ 駿河GXテクノロジーは今後、2リットル規模の試験結果をもとに、処理規模の拡大と条件の最適化を進め、実証プラントでの PFAS 除去工程と、その後の処理工程を組み合わせた検証をめざす。

さらに、処理後に残るフッ素を回収し、資源として再利用する「フッ素リサイクル」も構想する。

Aホールディングスグループでは、開発中の移動式・小型機の亜臨界水処理装置とも組み合わせ、処理規模や現場条件に応じた選択肢を広げ、PFAS をはじめとする環境課題に対し、第三者による検証を重ねながら技術開発を進めていく。

亜臨界水処理を資源循環へ 大阪大学内ラボで研究開発

Aホールディングスグループが手がける亜臨界水処理は、PFAS 以外の資源循環分野でも研究開発を進行中。

高温・高圧の水で生ごみなどを分解し、燃やさずに肥料や液肥へ転換する技術で、駿河GXテクノロジーと提携事業者は大阪大学内のラボで温度・圧力などの処理条件を研究している。

また、これにあわせて、現場へ持ち込める移動式・小型機も開発中。

Aホールディングスグループでは、亜臨界水処理装置、加圧浮上分離装置、発酵装置などを組み合わせ、「分解・分離・資源化」を一連で行う循環型処理システムの構築をめざしていく。

防災と産業を両立する土地開発 静岡市清水区で構想

Aホールディングスグループはさらに、静岡市清水区 宍原(ししはら)地区と三保貝島(みほかいじま)地区の2地区で、防災と産業を両立する土地開発を構想。

新東名高速道路に近い宍原地区(約50万坪)では、防災機能を備えた工業団地や企業・工場誘致の拠点としての活用を構想。

三保貝島地区(約1万坪)では、防潮堤機能を兼ねた盛土造成を計画し、造成地を活用した民間海洋研究施設の整備を構想している。

いずれも、富士山噴火や南海トラフ地震などへの備えと、平時の産業振興を両立する土地活用をめざすものとして、注目を集める。

(画像は三保貝島構想イメージ)

Aホールディングスグループ 静岡市に合計15億円を寄付

こうした構想の実現に向け、Aホールディングスグループは、静岡市に合計15億円を寄付。

11月2日、東京 グランドプリンスホテル高輪で開催した Aホールディングスグループ 事業発表会では、粟井英朗 代表取締役社長が、静岡市に「1億円、4億円、5億円と順次寄付していく」と公表。

静岡市 難波喬司 市長は、「静岡市の環境保全事業に深い理解を示していただき、地方創生推進に多大な貢献をいただいている」とし、感謝状を渡した。

Aホールディングスグループ 水 再生医療 資源循環 土地活用 エネルギー 安全・安心の6領域を展開加速

Aホールディングスグループは、社会課題を個別にとらえるのではなく、複数の事業を連動させて解決することをめざしていく。

主要領域は次の6領域。

水

水:天然水・浄水型ウォーターサーバー、PFAS対策を展開。ネパールでは工場建設に向けた土地を取得しており、2026年11月24日に地鎮祭を予定しています。

再生医療

再生医療:細胞培養加工施設やクリニックなどを軸とした事業展開

資源循環

資源循環:亜臨界水処理による廃棄物の資源化とPFAS処理

土地活用

土地活用:宍原・三保貝島地区などでの防災・産業・研究機能を備えた土地活用

エネルギー

エネルギー:高周波パワーエレクトロニクスやワイヤレス給電技術の研究開発

安全・安心

安全・安心:防災・減災やシェルターなど、平時と災害時の双方で活用できる社会インフラの調査・研究

――― Aホールディングスグループが国内外で手がけるシェルター調査研究成果を社会実装すべく、本社がある山梨県富士吉田市の3万坪保有地に100人規模のシェルターモデルを、静岡市内の50万坪保有地に500人規模のシェルターモデルを設置していくという。

Aホールディングスグループ 事業発表会(11/2 @グランドプリンスホテル高輪)には、山梨県 長崎幸太郎 知事も登壇。

「Aホールディングスの事業構想が実現できるよう、自治体としても支えていきたい」と伝えた。

左から、駿河GXテクノロジー 青山慧 代表取締役、山梨県 長崎幸太郎 知事、Aホールディングスグループ 粟井英朗 代表取締役社長、静岡市 難波喬司 市長。