静岡県沼津市に本店を構え、静岡県内 52か店を中心に、国内106店舗を展開する地方銀行―――スルガ銀行。
このスルガ銀行で独自の取り組みとして注目を集めているのが、2011年から自転車を活用した地域活性化プロジェクト「サイクリングプロジェクト」。
スルガ銀行サイクリングプロジェクトは、1人の銀行マンの人生を大きく変えた―――。
自治体の「自転車活用推進計画」に協力
スルガ銀行サイクリングプロジェクトは、ロードバイクの魅力や楽しさのPRを目的に2010年に発足。
サイクルイベントの企画・運営などを、スルガ銀行の営業エリアである静岡県と神奈川県で展開中で、約13年間積み上げた自転車文化に関する知識やサイクルイベントのノウハウを生かし、サイクルツーリズムを進める自治体の「自転車活用推進計画」に協力。
スルガ銀行の地元である静岡県・神奈川県の自治体や民間企業・団体と、自転車振興に関するパートナーシップを締結し、シティプロモーションなどの活動も行っている。
2017年にスルガ銀行“自転車専門”社員に任命
2000年にスルガ銀行へ転職。個人向けローンの企画・販売に従事していた深田聡朗CPは、ロードバイク(自転車)好きを買われ、2017年にスルガ銀行“自転車専門”社員に任命され、サイクリングプロジェクトキャプテンとして奔走。
現在は、スルガ銀行の業務として、サイクルイベントを企画・運営し、サイクリングプロジェクトの活動を SNS で毎日配信する。
画像加工や動画編集も独学でマスター。いつでも撮影できるようカメラが手放せないという。
ロードバイク購入ローンを企画・始動
自転車をリボ払いで買ったら金利が高かった2010年、 パーソナルファイナンス部門に所属していた深田CPは、“ロードバイク購入ローン”を企画したことから「サイクリングプロジェクト」が始まった。
ロードバイク購入ローンを発想したきっかけは、深田CP自身がプライベートでロードバイクを購入したとき。
「リボ払いで買ったんですが金利が高くて。もっと買いやすくできないかなと考え提案しました」
ところが、いつもは「コンプライアンスを遵守したうえでの新しい発想や挑戦は反対しない。一度やってみよう!」という自由闊達なメンバーが一瞬“シーン”と……。
「皆さんがイメージした自転車は1万円前後のシティサイクル。ロードバイクなどのスポーツ自転車は当時安いものでも20万円以上、高いものは200万円という価格だと知る人が少なかったんです」
企画は通り、メディアへのリリースを開始。すると早速、サイクリング専門サイトで取り上げられ、またたく間に Twitter で話題に。
SNSの“批判的な声”を希望ととらえて
この深田CPの企画・動きに、「趣味の世界に商売を持ち込むな」という批判的な声が。
深田CPは、凹む以前に反応があることに驚いたという。
企業が SNS でのPR活動を模索していた時代で、「いまは批判的な声が多いけれど、ウェルカムな声が多くなれば商品が売れるんじゃないか」と希望を感じ、さっそくローンPR用に“スルガ銀行サイクリングプロジェクト”というSNSアカウントを開設、PR活動を始めた。
その方法は、プロジェクト名が印字されたサイクリングジャージを着てサイクリングイベントに参加し、その姿をサイトにアップするというもの。
「2013年ごろに着ていたサイクリングジャージ好きだと伝えるうちに、サイクリストたちの反応が好意的になり、ローンも利用されるようになりました」
新たなお客さま接点を生む施設を
そんなスルガ銀行サイクリングプロジェクトは、SNSアカウントの開設から数年でサイクルイベントを自主開催するようになる。
深田CPは、外部のサイクルイベントに参加する1人のサイクリストから、サイクルイベントの主催・運営者と立場を変えていく。
きっかけは、スルガ銀行の御殿場東支店と湯河原支店の店舗改装だった。
“新たなお客さま接点を生む施設を”と、自転車利用者の休憩施設ともなるサイクルステーションを店舗に併設。
その反響などから、サイクリングプロジェクトが社内でも注目されていった。
サイクルステーションの運営を任された深田CPは、「自社でサイクルイベントを開催すればお客さまとの新たな関係づくりが濃密に行える」とよろこぶも、経験したことがない業務に試行錯誤したという。
「どんなにネタがなくても SNSの更新だけは毎日欠かさず続けていました」
そう振り返る深田CPは、次のステップへと道を切り開いていく―――。
◆スルガ銀行サイクリングプロジェクト
https://www.surugabank.co.jp/cycling/