顔のたるみの仕組みが資生堂の研究で明らかに! 皮膚の抗重力システム「ダイナミックベルト」発見で美容界に革新

重力で顔面の肌が垂れ下がり、見た目の老化の原因となる「たるみ」が起きる原因が解明され、

資生堂は、国際医療福祉大学 医学部形成外科学 松﨑恭一主任教授、自治医科大学、生理学研究所との共同研究により、皮膚が重力による変形に抵抗するシステムを発見し、これを「ダイナミックベルト」と名付けた。

「ダイナミックベルト」は、顔面に高密度に存在する立毛筋群が重力に抵抗する仕組み。

研究チームはこれまで解明されてこなかった、重力で肌が垂れ下がり見た目の老化の原因となる「たるみ」が起きる原因を突き止めた。

この研究成果をもとに、重力で肌が垂れ下がり見た目の老化の原因となる「たるみ」に対して、研究開発を加速させる。

資生堂は、独自のR&D理念『DYNAMIC HARMONY』のInside/Outsideというアプローチでこの研究を推し進め、「たるみ」という顔の見た目の老化(Outside)に、最先端の皮膚解析技術で迫り、その原因を肌内部(Inside)から明らかにしていくという。

見た目の老化を引き起こす「重力」への挑戦

「重力」で皮膚が垂れ下がる「たるみ」は、実際の年齢よりも老けて見える大きな原因。

しかし、皮膚がどのように重力に抵抗するのか、その仕組みがなぜ失われ、たるみが起きるのかは、十分に解明されていなかった。

これは、重力で変形したり、反発するさいの、皮膚内部の変化や動きを観察する方法がないことが関係していた。

そのため研究チームは、まず皮膚の動きを捉える4次元解析技術「4Dデジタルスキン」を開発。今回、この技術を使い、皮膚の動きをとらえ、皮膚が重力に抵抗するシステムの解明に挑んだ。

肌の変形に抵抗する「立毛筋」

はじめに研究チームは、皮膚を均等な力で変形させて、その動きを4Dデジタルスキンで解析。

その結果、皮膚の変形は均一ではなく、変形に抵抗する場所が存在していたことが明らかに。

この変形に抵抗する部位を観察したところ、そこには立毛筋が存在していた。

立毛筋は、毛に付着する平滑筋で、寒冷や情動などの刺激により収縮し、毛を逆立たせる大きな力を発揮する筋肉。

立毛筋が毛と、皮膚の表層付近をつなぎ、これが変形時の皮膚の動きを制限することで、変形に抵抗すると考えた。

高密度で配列した立毛筋群が生み出す抗重力システム「ダイナミックベルト」

さらに解析を進め、顔面の皮膚では立毛筋が高密度に存在し、それが重力方向と反対向きに配列していることも確認。

そのため、この一連の立毛筋群が生み出す、変形に抵抗する力の総和が、肌が重力に抵抗する仕組みであると考えられ、これを「ダイナミックベルト」と呼ぶこととした。

いっぽうで、立毛筋は加齢で数が少なく、立毛筋の働きが悪い状態となることが確認されたため、立毛筋の加齢変化により、「ダイナミックベルト」が失われ、皮膚が重力に抵抗することが困難となり、たるみが発生すると考えた。

―――10月20日、渋谷ヒカリエで開かれた「資生堂イノベーションカンファレンス 2022 ~知と体験の融合~」では、ダイナミックベルトを活かした「たるみ防止ストレッチ」も紹介され、注目を集めた。

資生堂は、今後これらの知見を、多様なビューティーソリューションへと応用し、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」(美の力でよりよい世界を)の実現をめざしていくという。

「資生堂イノベーションカンファレンス 2022 ~知と体験の融合~」(10/20 渋谷ヒカリエ)に登壇した、資生堂 エグゼクティブオフィサー チーフブランドイノベーションオフィサー チーフテクノロジーオフィサー 岡部義昭 常務、資生堂 みらい開発研究所 江連智暢 フェロー、堀場聡 研究員、遠山麻依 研究員、資生堂 ブランド価値開発研究所 横尾美星 所員