Omdia が今後のスマホ市場動向を予測、半導体不足が解消し5G普及や脱スマホ2台持ちで出荷台数もプラスに転じるか

英国ロンドンに本社をおく大手調査・アドバイザリーグループの Omdia は、スマートフォン市場の動向と今後の動きについて、3人のキーマンが登壇し解説。

同社 Jusy Hong(ジュシー・ホン)シニアリサーチマネージャー(SRM)が世界のスマーフォン市場の現況を、Maosen Xia(マオセン・シア)リサーチアナリスト(RA)が5Gをはじめとする通信関連のトレンドを、杉山和弘コンサルティングディレクター(CD)がスマホ業界の半導体事情について説明した。

ホンSRM「デュアルSIM普及で出荷数減、ことし増加に転じる」

ジュシー・ホンSRMはまず、世界のスマートフォン出荷台数について触れ、出荷数減少傾向が続いてきたなか、その減少させてしてきた理由のひとつが、デュアルSIM対応スマートフォンの普及という。

たとえばこれまでは、シングルSIMスマートフォンで仕事用とプライベートの2台持ちが主流だった。これがデュアルSIM普及で、スマートフォンを2台持ちする必要がなくなり、結果的にスマホ出荷台数減少へと至った。

ただこの減少傾向も、2023年に増加に転じるとジュシー・ホンSRMはいう。

新興国などで人口が急増するほか、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行などにともない、スマートフォン出荷数減少傾向は2023年に底を打つと予測した。

また、高性能・ハイスペックモデルが好調で、廉価版は苦戦。今後もプレミアム版と廉価版の2極化が広がるとも見込んでいた。

シアRA「2027年には 5G が全体の70%までに普及」

次に、同社のマオセン・シアRAは、5G をはじめとする通信関連のトレンドについて説明。

第5世代移動通信システム 5G については、スタート時の巨額投資がいったん落ち着きをみせ、通信料・サービス料なども下がると見込み、2025年に 5G が LTE を超え、2027年には 5G が全体の70%までに普及すると予測した。

またこうした通信速度の高速化によって、手元にあるスマートフォンの高性能化は落ち着くのではないかとも予測。

クラウドで高速処理されることから、スマホデバイスの負荷が軽くなり、ハイスペックモデルやローエンドモデルといったスマホグレードに依らない体験ができるともいう。

杉山CD「2023年の半導体は-7.5%成長」

OMDIA 杉山和弘コンサルティング ディレクターは冒頭、世界のGDP、民間最終消費支出(個人消費)をみせ、コロナ禍の巣ごもり需要が行きすぎていたと指摘。

2023年の半導体市場は、-7.5%のマイナス成長と予測。半導体不足が解消され、在庫消化期間に。

いまだ結末がみえないロシア・ウクライナ戦争や、インフレ、国経済成長不安などの経済不安の影響で、需要が下がり、またPC・スマホ・民生市場の需要減からマイナス成長とみる。

また、2023年の電子機器市場は、前年比プラスを維持、2023年も同様の状況と見込み、スマートフォン市場はガマンの年とも。

いっぽうで、2023年末から2024年春にかけては電子機器市場はプラスに転じると見込み、需要をけん引するのは、5Gをはじめとする通信インフラや、電気自動車・車載デバイスなどをあげた。