空き家がこんなに変身! いまどき不動産会社女子が手がける「アキサポ」ジェクトワン空き家活用プランナーのリアル

火災や倒壊、犯罪の温床といわれている負の遺産、空き家。国内総住宅数の1割以上を占める850万戸もの空き家と、どう向き合っていくか―――。

あちこちに放置されている空き家に可能性を見出し、売却でも解体でもなく、活用する新しいビジネスモデルが動き始めた。

その名も「アキサポ」。東京・渋谷に本社をおく不動産企業、ジェクトワンが手がける空き家活用サポート事業だ。

この「アキサポ」は、ジェクトワンが空き家所有者から空き家を借り受け、リノベーション後に賃貸物件として一定期間貸し出すという、不動産業界唯一のサービス。

「アキサポ」の特長は、リノベーションにかかる費用は「アキサポ」(ジェクトワン)が負担し、リノベーション後の物件利用者を募集、空き家所有者は貸し出した賃料の一部が手に入るというフロー。

貸し出す「一定期間」は3~15年。その後の物件賃料は所有者に100%入ってくる。管理運営も所有者に移行する。また、「アキサポ」が引き続き管理を代行するというかたちも選べる。

こうした画期的なフローで、「アキサポ」を選んだ空き家所有者の88%が「0円で空き家を活用できた」、73%が「20万円以上の賃料を得られるようになった」、40%が「相談から活用まで半年以内で開始できた」という。

「もはや放置という選択肢はない」(ジェクトワン代表取締役 大河幹男)という空き家を、ポジティブに活用することでイノベーションを起こしていく「アキサポ」。その中心で動くキープレーヤーが、ジェクトワンの女性社員たち。

女性視点・ユーザ目線で現場リサーチを重ね実現

「アキサポ事例のひとつ、東京都大田区仲六郷の空き家は、大型バイクガレージに改装して好評を得ている」と語るのは、一級空き家管理士の資格をもつジェクトワン地域コミュニティ事業部 空き家活用プランナー竹内麻実さん(写真)。

「もともと相続で引き継いだ廃倉庫でした。家主は売却も考えていましたが、国道15号(第一京浜)からひと路地外れた奥まった立地。『売却するにも期待する価値にならない』ということで、家主がアキサポに注目しました」

この空き家物件は当時、袋小路の入り組んだ土地にあり、シャッターもなく雨風が吹き込み、不法投棄物が散乱した状態。

竹内さんたち「アキサポ」スタッフは、現地へ何度も通い、「袋小路の奥まった見えづらい土地がいい」というニーズに着目。国道15号といえば、箱根駅伝コースでもあり、東京と横浜を結ぶ大動脈。高額で置き場に不安を感じている大型バイクユーザをターゲットにしたバイクガレージへと変貌させた。

「都心の大型バイクユーザは、自分の愛車を安心して駐車させておく場を探しています。この空き家の周辺には、国道沿いに大型バイク店が複数点在していることから、大型バイクユーザの需要があることをつかみ、なんども現場をリサーチして、バイクガレージへの転換を提案しました」

この路地裏の奥まった地にある新バイクガレージは、募集を始めたとたんに契約者が増え、たちまち満車に。「視認性の悪さが逆にユーザの心に刺さり、愛車を安心して置いておける場所として認めてもらえたかたち」と竹内さんはいう。

ちなみにこの空き家物件は、相談を受けてからリフォームし、募集開始から満車になるまで10か月程度。空き家それぞれにある伸びしろと可能性を見出すジェクトワン「アキサポ」の底力がみえた一例だ。

では、そのほかにどんな事例があるか。前出のバイクガレージを含む、3つのアキサポ事例をビフォー・アフターの画像といっしょに見ていこう。

廃倉庫 → 大型バイクガレージ

改装前:廃倉庫

改装後:大型バイクガレージ

空きテナント → レンタル倉庫

改装前:空きテナント

改装後:レンタル倉庫

14年前に投資目的で購入。テナントがつかずそのまま放置されていた空間を、大手貸倉庫業者と協業し、地域住民をターゲットにした個人向け貸倉庫に(東京都墨田区東向島)。

空き店舗 → シェアキッチン

改装前:空き店舗

改装後:シェアキッチン「コマワリキッチン」

2018年度 豊島区 創業チャレンジ支援施設 開設事業補助金プロジェクト採択事業。

昭和の元祖シェアオフィスともいえる「トキワ荘」があった街。空き店舗を、飲食事業を志す起業家向けイートイン付きシェアキッチンに。

――― リノベーション費用はゼロ、リノベーション後の利用者募集をサポートし、賃料の一部を得られる空き家の新しい活用法「アキサポ」。「空き家のこの先について困っている」という人は、公式ホームページ(https://www.akisapo.jp/)をチェックしてみて。

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